U このまま続くと信じていた平穏な日々。 だが、中2になった日。ソレは覆された。 「スッゲェ可愛いなアイツ」 周囲の奴らが嬉しそうに話している。 『ん?誰の事だ?』そう思い噂の人物に目線を向けた。 偶然ぶつかった視線。カァァァァァァァァ紅く染まった頬を見てスッゲェ可愛く見えた。 声が聞いてみたくて自分から話し掛けた。想像以上に好みの声。そして何より甘ったるい香りが良い。 「香水付けてる?」 尋ねたが何も付けていないらしい。 幸運な事に坂田と俺は似た者同士で、あっと言う間に親友になれた。 毎日側に居て話をして戯れ合って喧嘩して深まる友情。 けれどそれ以上に募る不思議な感情。 紅い唇に口付け、細くて折れそうな綺麗な身体を抱き締めたい。 そしてあの声で好きと言って欲しい。 コレは明らかに恋だ。 有り得ない。あんなに素敵な許嫁が居るクセに何考えてんだよ俺。 それに坂田は男だぞ? 「土方?」 眉間に皺を寄せていると心配そうに尋ねられ 「悪い。考え事してた」 苦笑した。 気付かれてはいけない。隠し通さなければ俺と坂田の今の関係は崩れてしまう。 気付かれ避けられる位なら、今の親友のままでいたい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |