Z 今すぐ行くから待ってろ坂田。 全速力で駆け出そうとした瞬間 「十四郎」 呼び止められた俺。 ・・・・・ちょっとさぁ、何?今ソレ所じゃないんだよ。 不機嫌丸出しな顔で声がした方を向くと 「何処に行くんだ?」 父が居て 「俺やっぱり結婚出来ません」 キッパリ言い切った。 「オイッ、十四郎っ」 制止の声を無視し、家を飛び出す。 父の威厳や怒りも怖いが、今は勘当される恐怖よりも・・・・・坂田を失う事の方が怖い。 嫌だ、失いたくない。手放したくないんだ。もう二度と他の誰かになんて触らせたくない。 地位も名誉も何も要らない。 だから頼む。俺から坂田を奪わないでくれっっ!!! 祈る様な想いを胸に、走る。急いだお陰で、あっという間に辿り着いた坂田の家。 乱れる呼吸を無理矢理深呼吸で落ち着かせ、ピンポーン呼び鈴を鳴らした。 ガチャリ小さく開いた扉。 「誰?」 聞きながら顔を覗かせた瞬間、目線が絡んで凍り付いた坂田。 「・っ、・・土・方・」 声が可哀相な位震えている。 どうして来たの?そう視線が訴えている様で 「ごめん、坂田。ごめん」 頭を下げながら謝った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |