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「ちょっ、勝手に入んなよ」
煩い金髪を無視し、俺は靴を脱ぎ勝手に脚を進めた。
控え目に坂田の部屋の扉をノックし
「坂田」
名前を呼んだが、応答がない。
もう一度
「此処開けてくれないか?」
声を掛けるとゆっくり開いたドア。
「入って良い?」
遠慮がちに尋ねるとコクリ首が縦に動き
「御邪魔します」
部屋に脚を踏み入れた。

ずっと俯いたままの坂田。名前を呼ぶと一瞬上げられた顔。泣き腫らした瞳が目に入りズキリ胸が痛んだ。
「さっきは逃げてごめん」
素直に謝ると
「軽蔑しただろ?アレ俺の兄貴なんだ」
泣きそうな顔で微笑まれ、瞬時に傷み付けられる胸。俺の前では作り笑顔なんてしなくて良い。泣きたい時は素直に泣けよ?
そぉっと柔らかな髪を撫で
「軽蔑なんてしないよ」
フワリ微笑むと
「ダメ。俺に触んないで」
左右に首を振られた。
「どうして?」
不思議に思い問うと
「土・方迄・・・汚れ・ちゃう・から」
ポロポロ雫が零れ落ちた。
「何かあったのか?」
心配になって顔を覗き込むと
「ヤッ!!言いたくない」
より蒼褪めた顔。
「教えて?」
頭を撫でながら優しく尋問するが激しく首を振るばかり。
「坂田」
柔らかな口調で名前を呼び続けると
「嫌・だ。嫌わ・れたく・ない・よぉ・・・・」
ヒィックヒィック啜り泣き始めた坂田。
ギュゥッ。力強く抱き寄せると
「大丈夫。嫌いになんて・ならないから」
綺麗な瞳を見詰めながら誓った。涙で輝く瞳がより一層可愛さを引き立てる。
「・・・・本・当に・っ、嫌・いに・ならない?」
ビクビク怯えながら上目遣いで聞かれ『ヤバッ!!』顔が紅く染まった。ぅっわ、下半身直撃。マジ可愛いし坂田。
「ああ、約束する」
安心させる為出来るだけ優しく笑い掛けると
「・・・・・分かった」
小さな声が聞こえた。
が、物凄く話し辛いのかなかなか口を開かない坂田。長くて重い静寂が続いた。
約15分位か?名前を呼ぼうと口を開き掛けた時
「・・・・プール・の翌日な、俺・金時に・・・・・っ、犯・された・んだ」
突然耳に入った信じられない様なセリフ。
「なっ!?」
思わず驚愕で目を見開いた。

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