銀時SIDEV-T
「今から逢わねぇ?」
そう誘われ胸が弾んだ。まるで、好きな男性にデートに誘われた女の子みたいだ。ドキドキして嬉しくて堪らない。
断る理由等微塵足りともない。
「今からソッチ行く」
即答した。
鼻歌を口ずさみながら上機嫌で服を選ぶ。御機嫌に玄関に向かい靴を履いた瞬間
「つぅっっ!!!!!」
愕然とした。
塞がったとはいえ、まだ跡が残った両手首の傷。
薄くなったとはいえ、見る人が見ればスグにバレてしまう身体中に残る所有印。
こんなの見せれる筈がない。
慌てて薄手の長袖のシャツに腕を通し、キッチリ全てのボタンを締めた。
って、見るからに暑苦しいよ。実際スッゲェ暑いし。
どうやら金時は洋服で隠せるギリギリのライン迄、全て所有印で埋め尽くしたらしい。
ほんっと最悪だよアイツ。これじゃあ夏の格好出来ねぇじゃないか。
溜め息を洩らしながら、俺は玄関に鍵を掛けた。
が、土方の家に近付くに連れ暗い気持ちは晴れ、ワクワクと楽しい気持ちに変わった。
もうすぐ土方に逢える。そう思うだけでこんなにも胸が踊る。
ああ、早く逢いたい。
自然とニヤけてしまう頬に力を入れながら、俺は脚を進めた。
家の前、呼び鈴を鳴らす直前
「銀時」
呼び止められ振り返った。
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