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3.
2年になって
「銀時」
ヅラが同じクラスに転入してきた。

桂は、中学まで仲良くしてた幼馴染みだ。
久々に呼ばれる名前と、昔と何も変わらない嬉しそうな笑顔に
「久しぶりだな」
癒された。

クラスは毎年変わるらしく、去年と全く違った顔合わせ。

ちゃっかり俺の隣の席をGetしたヅラは、相変わらず不思議な白い物体を連れている。
名前はエリザベス。
中の人は年齢不詳。
ヅラは、中の人の存在を否定しているが、普通は気付くだろう。

授業中もずっと話し掛けてくるヅラはウザいが、なんか楽しい。
中学に戻ったみたいだ。

そういえば、アイツも同じ学校だったよな?
一度も顔見てねぇけど。

中学まで俺は、桂と高杉と毎日一緒に居た。
良い事も悪い事も、殆ど三人でした気がする。

何でアイツ顔見ないんだろ?
そもそも学校来てんのか?

休み時間、ヅラが話し掛けてきた瞬間感じた視線。
「悪い。ちょっとトイレ行ってくる」
慌てて側を離れた。

俺の側に居たら、ヅラまで嫌な思いをする。
ていうか、知られたくない。
スッカリ変わり果ててしまった俺を。

ヅラも誰も着いてきそうに無い場所を探していたら
「おっ、此処意外と穴場じゃね?」
屋上に辿り着いた。

誰も居ない広い空間。
休むには最適な場所だ。

って、ん?

「お前何してんの?」
人居た。

つか、高杉じゃん。
何で此処に居んだよ?

「久しぶりだな、銀時」

高校になって初めて見た高杉。

「何、お前ずっと屋上居たわけ?」
疑問を投げ掛けた。


俺以上に面倒な事が嫌いな高杉。
入学初日、沢山の女子に囲まれて嫌気が差したらしい。
うん、狡い。
俺には男で、高杉には女。

美形は皆滅べば良いと思います。本気で。

それ以来、教室で出席確認が終わったらずっと屋上で時間を潰しているらしい。

えっと、授業は受けなくて良いんでしょうか?
2年に進級してるって事は、ある程度は勉強してるって事だよな?

高杉は意外と頭が良い。
運動神経も悪くないし、顔も良い。
背ぇ低いけど。

「相変わらずだな」
自分より少し下にある頭を見ると
「お前もその嫌みな所変わらねぇな」
高杉の眉間に皺が寄った。

「なぁ、お前何組?」
今日は2年の初日。
去年同様、俺は高杉のクラスを知らない。

「ん?多分Z」
は?
「同クラじゃん」
「あ〜、そういや今日出席取んの忘れてた。面倒いけど、職員室行くか」
あっ、そこは結構真面目なんだ。

「お前が同じクラスなら、今日から行くか、教室」
「え?」
「知らねぇ奴等ばっかで嫌だったけど、一緒なら楽しめるしな?」
マジで?

高杉とヅラが揃ったらマジ楽しいじゃん。
って、無理だ。

「悪い。俺お前と一緒居れねぇわ」
「は?何言ってんだ?」
「噂」
「噂?」
「え?知らねぇの?」

1年の途中から、俺には嫌な噂がある。

怪我をしていた時、偶然保健室の先生に見付かった。
スッゲェ美人と人気のある彼女。
全く俺の趣味ではなかったが、好感は持てた。

保健室は、スッゴク綺麗で良い香りがした。
普通保健室って言ったら、薬品臭いイメージがあるのに。
余計な事は一切詮索せず、行くと必ずお菓子をくれる彼女に、俺は懐いた。
で、時々保健室に通っていたんだが、其れがあらぬ噂の始まりだった。

彼女から見たら俺は弟みたいな存在で、俺から見たら彼女はお菓子をくれる優しい姉みたいな存在。
何も疚しい事等一切無かったのに。

俺は保健室の先生と付き合っているにも関わらず、セフレが沢山居る最悪な人間だと誤解されてしまった。

その噂のせいで、寄ってくる変態も急増。

だから、俺に普通の友人は出来ない。


「殆ど屋上に居るから知らねぇが、何か噂されてんのか?」
「いや、知らねぇなら良かった。でも、迷惑掛けんの悪いからさ、離れてた方が良いかも、な?」
軽く突き放すと
はぁ、小さく吐かれた溜め息。
「何か知んねぇけど、気にすんな」

え?

「噂なんかどうでも良い。何も変わんねぇだろ?」
優しく笑われて
「なら、噂知って嫌いになんなよ?」
「なんねぇよ」
不覚にも目頭が熱くなった。

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