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Y-T
「何故自分が此処に居るのか分からないって顔してるな」
ピンッ、軽くデコピンしながら言われ
「痛っ!?」
額を押さえた。

「もうすぐ放課後だから、多分土方が迎えに来るんじゃね?」
放課後?
「お前覚えてねぇの?」
はい。

「昼休みの後、土方が真っ青な顔で抱き抱えて来たぞ」
え?
「なんかお前が可愛過ぎて歯止め利かなかったとか言いながら」
ソレってまさか。
「やり過ぎて気ぃ失うなんて、学校で何やってんだよ」
ぅぎゃぁぁぁあああああーーーーーーっっ!!
晋助にバレたぁっ。

真っ青になってしまった顔。
「あのね、晋・助」
って、何言い訳しようとしてんだ?俺。

「気付いたか?」
はい?
「自分の気持ち」
ん?

ハテナ?って感じに首を軽く右に傾けると
「まだか」
フッ、晋助は物凄く小さく笑った。
「いい加減気付けよ?」
クシャリ撫でられる頭。
「ワケ分かんねぇ」
ぷぅぅ、頬を膨らまかすと
「ほんっと可愛いなお前」
「ぇ?」
チュッ、唇が奪われた。

あっ、今キスされた。

「晋・助」
甘える様名前を呼んだ途端
「ふぁ・っ」
抱き寄せられた身体。
「ん、っ、ふ。んん、ぅん」
絡められる舌。
大好物の糖分を摂取している時の様な甘味が
「ぁ・ん。ふ」
口腔内を満たす。
「晋助。好・き」
軽く唇が離された瞬間、無意識に零れた言葉。

クスリ笑われた。
『晋助?』

「どうして俺への気持ちは分かるのに、アイツへの気持ちは分からねぇんだ?」
え?
「お前見てたら、スッゲェ分かるぜ?気持ち」
えっと、どういう意味?
「早く自覚しなきゃ、後で本気で後悔するかも、な?」
後悔?
何言ってんのかサッパリ分かんねぇよ晋助。
「まっ、俺としては自覚して欲しくねぇけどな?」
ソレって?
「自覚したらお前、俺の前から消えるしな?」
消える?
「何言ってんだよ?晋助。俺がお前の前から消えるワケねぇだろ?」
「消えるよ、絶対」
フッ、哀しそうに苦笑され
『なんでだよ?』
泣きそうになった。


「来ねぇな」
チュッ、額に唇を寄せられた後、呟かれた声。
チラリ時計を見ると、とっくの昔に下校時間は過ぎていた。
「もう歩けるか?」
聞かれ、ゆっくり立ち上がってみる。
少しふらつくが、帰れないって程ではない。
「本当は送って行ってやりたいが、今お前の家行ったらヤバイ」
『何が?』
言われた意味が分からず顔を見詰めると
「・・・・・・・・抱き殺してしまいそう・だから」
低く、艶の帯びた声を耳打ちされ
「ーーーーーーっっ!!」
腰が砕けた。

「大丈夫か?」
カクンッ、抜けた力。
座り込んでしまいそうになった俺を
「あんまり可愛い反応すんなよ」
晋助は慌てて抱き上げた。


「じゃあな」
そのまま抱かれたい気持ちを胸に
「うん」
ゆっくり教室に帰る俺。
物凄く離れたくなかったが、教室に置きっ放しの鞄も気になる。
ソレに、迎えに来てくれなかった土方の事も。

怠い身体を引き摺る様にして、向かう教室。
凄く近いのに、何故か遠く感じる。

ガラリ扉を開けると
『え?』
下校準備が終えてある俺の鞄が机の上に置いてあった。

土方がしてくれたのかな?
だったら、保健室迄持ってきてくれれば良かったのに。

鞄を持ち上げると
『ん?』
その下には1枚の紙があった。
ゆっくり手に取り読み上げると
『土方?』
ソコには
《先に帰る》
物凄い短文が書いてあった。

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