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X.苛立ち【土方SIDE】
壊してやろう。そう想い、傷付けた。
無理矢理犯して、好きだと甘く囁いて繋ぎ止めた。
《好き》
泣きながら告げられて
『なんだよソレ』
ヤケに苛ついた。
今そんなセリフ聞きたくないんだよ。
好き勝手に乱暴に抱き続けたのに
《土方》
なんで居るんだよ?
なんで毎日俺に逢いに来る?
俺はお前を犯したんだぞ?
痛いって、止めてって叫ぶお前を無理矢理組み敷いたんだぞ?
なのに何故?
何故お前は笑えるんだ?
痛くて泣き叫ぶクセに何故逃げない?
何故俺のキスをねだるんだ?
分からない。
俺はお前に縋って貰える様な人間じゃないんだよ。

汚しても汚しても、全く汚れない身体。
綺麗な綺麗な人形みたいだ。

お前を見てると、何故かスッゲェムカつくんだ。

高杉にずっと不変の愛を注がれているクセに、全く気付かない坂田。
綺麗さだけでなく、永遠の愛迄手に入れている。
お前は狡い。
綺麗な坂田。
俺はお前を壊したい。
好きだという感情以上に、お前が羨ましくてならない。

俺は小さい人間だ。

いつの間にか坂田に逢うのが苦しくなっていた。
だから、ワザと公園に行かなかった。
俺の部屋からはほんの少しだけだが、公園のブランコが見える。
チラリ見ると、ジッと座って俺を待つ姿が見えた。
俺は行かない。
スッと目線を逸した。


夜寝る前に何となく見た公園。
『坂田?』
まだ大人しく待ち続ける坂田が見えた。
『アイツ何してんだよ?』
ザァザァ強く降る雨。
坂田は傘も差さずにジッと俺を待っていた。
『坂田のバカ、風邪引くだろ?』
玄関に向かったがグッと堪えた。
行かないって決めたんだ。
どんな事があっても絶対行かない。


なのに、次の日も、又次の日もずっとずっと俺を待つ坂田。
余りの健気さに胸が痛んだ。
走り寄って抱き締めてやりたい。
そんな感情が沸き起こったが、俺は自分の気持ちに気付かないフリをした。




そんな感じで過去った日々。
ある日
『高杉?』
2時間目、高杉が居なかった。
『サボりか?』
高杉は真面目に授業は受けないが、サボった事はなかった。
『珍しい事もあるんだな』
ふと気にしたが、意識を逸し授業に専念した。
授業の終わりがけ、ご機嫌に戻って来た高杉。
「高杉今迄何処に居たんだ」
先生が怒ったが
「キチンと授業中に戻ってきたからサボりじゃないだろ?」
サラリ躱して席に着いた。
明らかに何か良い事があったんだな。
先生に睨まれたにも関わらず、高杉は嫌な顔1つしなかった。

休み時間になり教室を出た俺。
何故か中庭に行きたくなったんだ。
人通りが少なくなった時
「土方」
呼ばれた名前。
『えっ、坂田?』
坂田の声だった。
逢いたくて幻聴が聞こえたのか?
慌てて振り返ると
『なんで?』
ソコには・坂田が居た。
「もう公園には来てくれないのか?」
不安げに聞かれ
「行かない」
肯定した。
「来てくれる迄、ずっと待ってる」
泣きそうな顔で告げられ
[知ってる]
思わず言いそうになった。
だって、毎日毎日見えるんだ。お前が俺を待つ姿。
待たなくて良いのに、何故待つ?
思わず
「お前なんか最初っから好きじゃねぇよ。ずっと嫌いだった」
一気に言ってしまったセリフ。
『しまった』
後悔した時には手遅れで
「嫌だ土方、嫌わないで。嫌な所あったら直すから、何でもするから、だから、嫌いだなんて・言わないでぇ」
物凄く坂田を傷付けてしまった。
最初っから傷付けるつもりだったのに、実際してしまうと苛まれる罪悪感。
泣き顔が見たくなくて
「今スグ失せろよ」
冷たく言い放ち、その場を去った。

ムカつく。スッゲェイライラする。
自分で決めてした行動なのに、何故こんなにも苛つくんだ?
コレは明らかに後悔だ。
あそこ迄傷付ける必要はなかった。
なのに、俺は縋り付く坂田を突き放した。
あんなに泣いていたのに、あんなに必死だったのに。

ドンドンドンドン押し寄せる後悔。
けれど覆水盆に返らずと言う様に、俺は自分が言ってしまったセリフを消去出来ない。
坂田の笑顔と泣き顔が脳裏に浮かび
『俺は最低だ』
ダンッッ!!!机に拳をぶつけた。

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