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2
コッソリ教室内を覗き見ていると
『ヤッバァッッ!!!』
バチィッ!!!音がしそうな位、晋助と目が合った。
途端
「銀・時」
呼ばれた名前。
ゆっくり近付いて来た。
「久し振り」
交わした挨拶。
小声になったのは、気まずかったからだ。
「元気だった?」
返される挨拶もやはりぎこちない。
コクリ頷くと
「折角だから話して良い?」
晋助に聞かれ、そのまま屋上へ移動した。
『土方とは又今度話そう』
チラリもう一度教室に目線を向けたが、土方の姿は見えなかった。




『ぅ〜っっ』
移動したものの
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
続く無言。
『気まずい。一体何を話したら良いんだ?』
俯いた瞬間
「ごめん」
耳に入った謝罪。
「え?」
ビックリして顔を上げた。
ゆっくり見詰め合う俺と晋助。

晋助綺麗になったな。
髪も前以上にサラサラしてる気がするし、背も少し伸びた。
あっ、でも俺よりは若干低い?
でも俺まだ成長期だからなぁ。
これは言ったらキレられそうだから絶対に言わないでおこう。
顔は幼さが殆ど消えたな。綺麗で格好良くなった。
ジロジロ観察していると
「綺麗になったな銀時」
微笑まれた。
『って、ちょっと待ったぁ。ソレ俺のセリフだからマジで』
微笑まれた事で、和らいだ空気。
どうやら嫌われてはいなそうだ。
「なぁどうして突然転校したんだ?」
ずっと気になっていた質問をした。
『晋助?』
突然暗ぁ〜くなった空気。
なんかどんよりしている。
『お〜い晋助、どうした?』

「あの日な、俺は八神を殺そうとしたんだ」
『ぇ?あの日って、転校する前の日の事?』
覚悟を決めたのか、ゆっくり話し始めた晋助。
「アイツお前を皆の前で無理矢理犯したって言ったんだ。最初に抱けなくて残念だったな、銀時はもう自分の物だって言われて。殺意が芽生えた」
『嘘・晋助知ってるの?俺が犯された事』
「無理矢理八神を引き摺りながら校舎を出ると、車の通りが多い道路に向かって、思いっ切り八神を投げたんだ」
『お〜い晋助。お前意外と過激なのな』
「勿論八神は車に轢かれた。けど飛び散る赤い血を見て、ハッと我に返ったんだ。慌てて救急車を呼んだ」
『我に返ってくれて良かったよ晋助』
「スッゲェ悪運が強いらしく、八神は軽傷だった」
『えっ!?担任は意識不明の重体って言ってたぞ?』
「スグに面会出来て話をしたら、アイツお前が好きだって言ったんだ。本当は最後迄するつもりはなかった。だけど俺の名前を聞いた瞬間理性が崩壊したって。悪い事したって、反省してたよ。だからもう二度と銀時には逢わないって言われた」
『そういえば八神、あの後学校に来なかったな。晋助の事で精一杯で考えられなかった』
「俺はお前を守れなかった罪悪感で、お前の前から姿を消した。怖かったんだ。お前を見捨てた俺を、お前は嫌いになったって思った。だから・逢えなかった」
『俺と同じ?』
「俺は晋助に嫌われたって思ったから・逢えなかった」
震える声で呟くと
「嫌うワケないだろ?」
スグさま返された答え。
「嘘・だって、ずっと逢ってくれなかった。それに突然消えたし」
潤み始めた瞳。
「合わす顔がなかったんだ。お前はもう・俺を嫌いだろ?」
哀しそうに伏せられた顔。
「バカ、嫌うワケないじゃん」
少しキツく言い放った。
「俺が晋助を嫌うワケない。ずっと逢いたかったんだよ」
ついに溢れ出した涙。気にも止めず言い続けた。
「ずっとずっと、晋助に嫌われたって思ってた。それでも逢いたいって、逢ってもう一度話がしたいって、ずっと願ってたんだよ」
一気に想いを打ち明けると
「ごめん銀時」
力強く抱き締められた。

漸く出来た、2人の間の溝の修復。
もう二度と晋助とは話せないって思ってた。
「ずっと好きだった銀時」
耳元で甘く囁かれて、物凄く甘い痺れが走った。
だが、[俺も]とは即答出来なかった。
前迄は晋助が一番好きだった。
なのに今は、土方が好きで堪らない。
あんなに好きだったのにな、変なの。
やっと晋助が手に入ったのに、今俺が欲しいのは土方だ。
なんて皮肉なんだろう。
欲しくて堪らない時には手に入らなかったのに、諦めた途端に入った。
タイミングってとても難しい。
土方に逢う前だったら絶対に喜んでいたのにな。
土方、土方。
逢いたい。
逢いたいよ土方。
ヒックヒック泣きじゃくり始めた俺。
「銀時は今誰か好きな人が居るんだな?」
優しく耳元で聞かれ
「ごめんなさい」
抱き付きながら謝った。
ごめんね晋助。
待てなくてごめん。
大好きだよ、それは今でも変わっていない。
ずっとずっと大好きだよ晋助。
だけど、愛してるのは・・・・・土方なんだ。
ごめんね晋助、ごめんなさい。

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