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4
翌日、痛む身体に鞭を打ち登校した俺。
休むと親に心配される。
チラリ隣りの席を見ると、入る大好きな姿。
今日は来れたんだ。
でももうスッゴク遠くに見えるよ晋助。
俺・汚れちゃった。
瞼を閉じると
《銀時》
優しい笑顔が甦る。
一度だけ触れて貰った唇。
ねぇ晋助。
俺、晋助に抱かれたかったな。
初めては・・・・・晋助が・良かった。
でも、もう・無理・・・だね?
俺汚いから、もう汚れちゃったから。
もう晋助には・ふさわしくないよ。
ハラハラ零れ落ちて止まらない滴。
「銀時?」
驚いた晋助が俺の名前を呼んだ。
久々に呼んでくれたね名前。
「・・・晋・助」
縋る目線を送った瞬間
「おはよう坂田」
八神が背後に立った。
ドクンッ!!!
一瞬で甦る昨日の恐怖。
「嫌だ、来ないでっっ!!!」
慌てて席を立ったが
「何処に行くつもりだ?」
物凄い力で上から押さえ付けられた肩。
恐怖で青褪めた。
『嫌だ、又同じ事するの?』
怖くて出なくなった声。
泣きながら全身を震わせた。
『怖い、怖い、怖いっっ』
誰も助けてくれない事は、昨日で嫌になる位理解した。
でも、もう二度とあんな事はしたくない。
「お願・い、許し・て?」
必死に声を搾り出しながら懇願すると
「八神、お前昨日銀時に何をした?」
晋助が口を開いた。
「お前に教える義理なんてねぇよ」
偉そうに言い放つ八神を
「ちょっと来いっっ」
晋助は無理矢理教室から連れ出した。
「晋助?」
慌てて後を追うと、
「着いてくんなっっ」
止められた。

その後、教室に戻って来なかった晋助と八神。

不安な気持ちのまま迎えた翌日。
『晋助?』
SHRが始まっても、2人は現われなかった。
『どうしたんだろう?』
心配で空席を見詰めると
「昨日八神が入院した」
担任が突然そんな事を言った。
『ぇっ、どういう事?』
「車に轢かれて、意識不明の重体だ」
『車に轢かれた?』
「高杉は今日退学届を出して学校から消えた」
ガタンッ!!
慌てて立ち上がると
「嘘だっ!!ねぇ先生、晋助何処?ねぇ何処行ったの?」
物凄い勢いで担任に掴み掛かった。

「悪い坂田。俺も知らないんだ。高杉何も言わなかったから」

告げられた答えに
「嫌だ・晋助。そんなの嫌だ・よ」
俺は泣き崩れた。
『逢って確かめなきゃ』
「坂田、待ちなさい坂田っっ」
呼び止める担任の声を無視して、俺は学校を飛び出した。
向かう先は晋助の家。
『学校止めるなんて嘘だよね?』
泣いて真っ赤になった瞳をそのままに、俺は全速力で走った。

辿り着くなりピンポーン呼び鈴を鳴らしたが、全く反応のない扉。
「晋助っ、晋助ぇっっ」
ドンドンドンドン玄関を叩いた。

どれ位叩いたのだろうか。
「高杉さんなら朝方引っ越されましたよ」
アパートの管理人さんらしき人が現われた。
「えっ、引越し?なら、何処行ったか知りませんか?」
唯一の手掛かりになりそうな人物に出逢え
「お願いします。教えて下さい」
俺は必死に頼み込んだ。
だが
「ごめんね。新しい引っ越し先は教えて貰えなかったのよ」
管理人さんに謝られ
「そんなぁ」
俺は玄関前に座り込んだ。
「大丈夫?」
心配され
「すみません」
無理矢理立ち上がると
『晋助、晋助』
心の中で何度も叫びながら晋助を探し回った。
『どうか近くに居て?』
『逢いたいよ』
毎日探しながら、祈る様に寄せる想い。


いつの間にか、小学校は終わった。
哀しい気持ちのまま迎えた中学。
俺は心を閉ざしたまま、日々を過ごした。




ねぇ晋助。
どうして突然消えたの?
もしかして八神の事故と関係あるのか?
それとも、俺から離れる為?
ねぇ、逢いたい。逢いたいよ晋助。




こうして、俺の初恋は強制的に幕を降ろした。
愛しい相手を失うという最悪な結果で。

なぁ晋助。
こんな哀しい想いをするのなら

俺はもう



恋なんかしたくない。

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あきゅろす。
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