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強がり
あぁ、最近アイツに会ってないな。あの綺麗な銀色に。
久々見に行くか。

気分転換も兼ねて俺は万事屋へ向かった。



くぁあ〜ぁ。
久々に目にした銀髪はなんとも間抜けな欠伸をしながら椅子に寄り掛かりダラダラしていた。

まさかコイツ毎日こうじゃないよな?
要らぬ心配を抱きながら
「銀時」
窓越しに名前を口にした。

「ん〜?」
振り向かずに身体を反らしながら確認する姿に
『少しは動けよ』
苦笑しつつ反応を待つ。

ゆっくり合う視線。
銀時は俺を視界に入れると
「お前さぁ玄関から来いよ」
顔をしかめ
「取り敢えず入れば?」
素っ気なく言い放った。


「銀時ぃ、変わったな」
「何が?」
気付いてねぇのか?

「全て」
以前あった殺気が微塵足りとも見えない。
昔のコイツだったら簡単に自分の陣地に人を入れない。
ましてやこんなに緩い雰囲気等纏っていなかった。
白夜叉は一体何処に行ったんだ?隙だらけだ。

「お前は全然変わんねぇな」
纏う雰囲気や顔の事とかかと思いきや頭に手を置かれ
「殺されてぇのか?」
思わず凄みを利かせながら唸ってしまった俺は悪くないと思う。
今更伸びるか、成長期にさえ伸びなかったのに。

コイツは昔っから人のコンプレックスをからかうのが好きな性悪だ。

「悪い悪い」
苦笑しながら謝られたが、絶対に悪いとは思ってない筈だ。絶対に。

「ていうかさぁ。一体何しに来たの?」
不思議そうに聞かれ
「テメェで考えろ」
適当に返した。

俺がお前に逢うのにイチイチ理由なんて要らねぇだろ。
違うか?


「高杉」
柔らかな声色で名前を呼ばれ
「銀時」
吸い寄せられるかの様に銀時に触れた。

「……んっ」
重なり合う影。

軽く重ねた唇は相変わらず甘くて、この味だけは昔と変わんねぇなと思った。


「で、なんで来たわけ?」
はぁあ。溜め息出る。
何故理由が要んだよ。ったく、面倒くせぇな。

「たまには会わねぇとな?」
「何で?」
ったく、イチイチ言わせんな。
分かれよ。

「幕府の犬供に盗られたらムカつくからな」
「犬?」
相変わらず自分の事になるとムカつく位鈍いな、コイツ。

ずっと逢わねぇと寂しくなんだよ。
たまには顔見ねぇと不安になんだよ、忘れられちまうんじゃねぇかって。
お前に触れたくて疼くんだよ。


……………………なんて、言えるか馬鹿野郎。


「テメェの為に来てやったんだよ」
「は?俺の為?」
「そろそろ寂しがってんじゃねぇかってな」
クククッ。嫌みな笑いを含めつつ言う俺。
あぁ、素直じゃねぇな。
ダッセェ。

「ふぅ〜ん?」
なんだよ?その笑みは?

ニヤニヤからかう様な顔がなんかスッゲェムカつく。


「ほんっと、バカだな。なら………………毎日会いに来いよ」
低音の美声を耳元に囁かれ
「……………………っ」
思わず耳を押さえるとクスリ笑われた。


「安心しろ。今も昔も俺はお前しか見てねぇから」
今度は銀時から唇を奪われ
『嗚呼、今も昔も敵わねぇなコイツにだけは』
軽い敗北感に襲われた。


「なぁ、毎日暇なんだよ。だからさ……明日も来いよな?」

キスの合間、目を見ながら銀時は囁き、微笑んだ。

「気が向いたらな?」
クククククッ。含み笑いをしながら口角を上げたが、多分俺の強がりなんてバレバレに違いない。

頭の中で白旗を上げた。




※高杉視点の高銀です。
って、ん?コレCP逆じゃね?
読んでて思われた方々。
安心して下さい。
逆は書きません。

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あきゅろす。
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