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A
なのに何故?

小5の夏。
《止めろぉっっ!!!》
銀時は、父に壊されてしまった。

あれは、母が仕事で、俺が部活で家を空けていた日だった。
1人で留守番をしていた銀時。
友人からボールを受け取り、ゴールに力強く蹴った時だった。
ドクンッ!!!!
激しい胸騒ぎを感じた。
『銀時?』
何故か、銀時が呼んでいる気がした。

《すみません》
慌てて学校を飛び出すと、速攻で母に電話をした。
《何かスッゴク嫌な予感がするんだ。俺も今から帰宅するけど、母さんも早く帰ってきて》
走りながら携帯で母に連絡し終わった俺は、物凄いスピードで玄関の鍵を取り出した。

って、えっ、開いてる?
背中を、冷や汗が流れた。
ガチャリ玄関を開け、中に入ると見知らぬ靴が一足脱ぎ捨ててあった。
ドクンドクン騒ぎ出す鼓動。
嫌な予感を抱きつつ、銀時の姿を探した。
リビングにも部屋にも居ない銀時。
まさか、と思いつつ、ゆっくり父の部屋の扉を開くと
《なっっ!?》
ソコには、無残な姿の銀時が居た。

《んんんんんんん》
ガムテープで口を閉ざされている為、出せない声。
ボロボロ涙を零しながら、伸ばされる助けを乞う手。
慌てて近寄ると
《入ってくるな》
父が、俺を睨み付けた。
無理矢理破かれて脱がされた服。
口はガムテープで、両手足はベットに縛り付けられている銀時。
沢山抵抗したのだろう。沢山の殴られた痕が見えた。
《邪魔すんなよ金時》
イヤラシイ笑みを向けられたと同時に
《止めろっ》
再開された動き。
銀時は、父に組み敷かれていた。
《止めろよ!!銀時から離れろっ》
慌てて父を殴ったが、簡単に躱された。
そして
《痛っ》
強く投げ飛ばされ、身体の力が抜けた。
《今良い所なんだよ。次邪魔したら殺すぞ?》
ギラリ殺気を送られた。
痛みのせいで動かない身体。
《んんっ、んんーーーーっっ》
無理矢理揺さぶられる真っ白な身体。
《止めてくれ、銀時に触らないでっっ!!》
唯々泣き叫ぶしか出来ない、無力な自分。
『お願いだ、母さん。早く、早く帰って来てっ』
縋る様に心底助けを求めると
《今スグ銀時から離れなさいっっ》
母さんが警察と共に帰宅した。

すぐさま父は再び警察に突き出されたが
《銀時?》
この日を境に
《嫌だ、怖いよぉ》
銀時は対人恐怖症になってしまった。

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あきゅろす。
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