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T.傷心@
俺には双子の弟がいる。
俺が金髪なのに対し、弟が銀髪。
ソレが命名の理由なのか、俺は金時で、弟は銀時って名前。

一卵性な為顔の作りは似ているが、瞳の色も違っていた。
俺は金に近い茶色。
光に当たると金色に輝くが、一応茶色なので、ソコ迄違和感を感じない。
が、銀時の瞳は、普通と違っていた。
まるで純度の高いルビーの様な綺麗な紅。
カラコンでさえ、此所迄綺麗な紅は出来ない。
尚且つ異常な位透き通った白い肌。
俺も白いが、銀時程白人っぽい色はしていない。

俺には銀髪もルビーの瞳も真っ白な肌も全て、綺麗な人形みたいに思える。
が、父にとっては
《なんだこの色は?》
異様な物に見えたらしい。

母は元々少し全体的に色素が薄く、髪も瞳も茶色かった。
その為、俺が金色に近い髪と瞳を持って産まれても、さほど驚きはしなかったらしい。
だが、銀髪と紅い瞳は本当に有り得ない色で。
父は、母の浮気を疑った。
この色は本当に偶然というより奇跡に近い色。
勿論母は浮気等していない。
けれど、父は母を微塵足りとも信じなかった。

俺達の誕生が原因で、亀裂の入ってしまった家族の絆。
母は俺達を物凄く愛してくれたが、父は銀時を蔑んでいた。


俺が銀時の異変に気付いたのは、小3の時。
一年中銀時は、何故か長袖と長ズボンを着ていて、肌を露出させない。
何かを隠しているのか、それとも単にそのスタイルが好きなのか。いつも疑問に感じていた。
特に夏場は暑苦しい為、母と俺2人で着替えさせようとしたが
《コレで良い》
何故か必死に着替えを拒んだ。
体育の時でさえ、長袖のジャージ。
プールは絶対に嫌がって入らなかった。
人前で着替えたりする事さえ拒む。
俺はずっと銀時の手と顔以外の肌を見ていない。
他人よりも白い肌が恥ずかしくて、見せたくないのかな?
そう勝手に解釈して、俺と母は銀時に服装の事を聞くのを止めた。

大手会社に勤務している母。
サッカー部に入っている俺。
父は土木会社の下っ端の下っ端で仕事が余りない為、よく暇を持て余して家に居た。
銀時は帰宅部な為、必然的に家には父と銀時、2人が一緒に居る時間が多い。
口数の少ない2人。
尚且つ蔑まれている銀時。
どうして2人の不仲を知っていたのに、母と俺は気付かなかったのだろうか?
銀時が、父に虐待されていた事に。

気付いたのは本当に偶然。
《大丈夫か?銀時。ごめんな》
夕食時、倒してしまったコップ。
不運な事に、銀時の服にお茶が零れてしまった。
風邪引いたらいけないと思い
《急いで着替えよう》
銀時を自室に連行した。
タオルと着替えを差し出し
《手伝うから》
銀時の服を脱がした瞬間
《見ないでっっ》
銀時がタオルで身体を隠した。

えっ?
一瞬見えた紫色の痣。
無数に付けられた切り傷。
なんだコレは?
《見せろ銀時!!》
慌ててタオルを剥ぎ取った。
ガタガタ震える身体。
なんだ?
コレは一体どういう事だ?
まさか父さんか?

《母さんっっ》
慌てて母を呼び出し、銀時の身体を母に見せた。
母は泣きながら
《気付いてあげられなくてごめんね》
銀時を抱き締めた。

銀時が必死に身体を隠していた原因は、傷や痣を隠す為。
そしてその原因は、父からの暴力。

全てを知った俺と母は、父を警察に突き出した。
そして、二度と銀時に近付けさせないと、心に誓った。

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