Ⅲ-Ⅰ
《Ａｃｔ．３》
5/6(日)
G.W.最終日。
んん～。
軽く背伸びをしながら起きた。
あれ？
此所何処？
「おっ、やっと起きたか」
ん？土方。
なんで居るの？
「どうした？」
ーーーっ、うわぁっ！？
突然近付いた顔に驚いた。
と、同時に
カァァァァァ―――ッ。
一気に甦る昨日の事。
一瞬で目が覚めた。
「顔赤いぞ？」
覗き込む土方。
だ～か～ら～、近いってばぁっ。
「何で照れてるんだ？」
て、照れてなんかない。
お前の目の錯覚だコレは。
「昨日可愛かったな」
スッゴク嬉しそうに笑う土方。
わ、忘れて下さいっ。
昨日はどうかしてたんです。
そう、アレは俺であって俺じゃないんです。
多分。
うん、恥ずかしいからそういう事にしておこう。
「身体綺麗にしといたぞ」
あっ、本当だ。
って、爆睡し過ぎだよ俺。
着替え迄して貰って起きないなんてさ、それだけ昨日疲れたのか？
あ～もう、マジ恥ずかし過ぎだよ。
あんなに溺れたのは久し振り。
スッゲェ身体の相性良いのかもな？コイツと俺。
「そう言えば電話鳴ってたぞ？」
『誰から？』
画面を見るが
『あれ？』
着信アリになってない。
『何で？』
「もうスグかな？」
ニヤリ笑う土方。
はぁ？
何の事？
なんとなく嫌な予感がするのは何故だろう。
ガシャンッ、ガシャァッ。
『ん？』
玄関が五月蠅い。
絶対誰か蹴ってるな。
「俺見てくるね」
玄関へ向かう。
又壊されたら可哀相だ。
前回晋助に破壊されたばかりだもんな。
ていうか、ピンポーン♪って鳴らそうよ。蹴るんじゃなくてさ。
「どちら様～？」
玄関の外に声を掛けると
「銀さぁ～んっ」
泣きそうな声がした。
『ん？新八？』
ガチャリ開けるなり
「銀ちゃぁ～ん」
泣きながら神楽に抱き付かれた。
多分帰って来なかった俺を心配してくれたんだな。
やっぱ家族って良いな。
スッゴイ可愛い。
でもどうして此所が分かったんだ？
「銀時っ!!」
『えぇえ～？』
新八の後ろには何故か、高杉・桂・坂本・近藤迄居た。
何で？
もしかして溜り場此所に変えたの？
「まぁ、入れよ」
土方の声に促され、皆で中に入る。
何？
コレって、どういう事？
重～い沈黙。
俺を含めて8人も居るんだからさぁ～、誰か話そ？
ゴクンッ。
コップのお茶を飲む音でさえ鳴り響く。
ほんっと、何これ？
なんかスッゴイ気まずくね？
あっ、そう言えばさ
「ねぇ、何で此所に居るって分かったんだ？」
皆で来てるしさ、何故に？
最大の疑問を聞いた。
着信アリになってなかった携帯も気になる。
「昨晩携帯鳴ったから聞かせたんだ」
耳に入った土方のセリフ。
[聞かせた]って何を？
疑問符が頭の中で沢山浮かぶ。
？？？？？？って感じに。
って、何なの？この空気。
明らかに皆怒ってるよ。
誰に？
って、嘘。えっ、まさか。
俺にか？俺に怒ってんのか？これ。
[ひぁああぁ・・・]
『えぇええぇえ～？』
突然聞き覚えのある声が流れる。
『えっと、何処からだ？』
音のする方はえっと、晋助？
って、携帯電話？
「コレ何？」
いやいやいや、俺が聞きたいよ。
[ぁん、ト・シぃ。ぁっ、もっと。もっと、し・て？]
うっわ、なんだこの甘ったるい声は。
気持ち悪くね？俺。
じゃなくて、何でそんな所から俺の声するんだ？
「盗聴？」
「バカッ、んなのするかぁっ!!!!」
なら何で？
・・・って、まさか？
いやいやいや、ソレは有り得ないって。
いくらなんでもソレは。
「土方？」
ニヤリ黒い微笑が目に入り名前を呼ぶ。
着信アリになってなかった理由って？
此所が分かった理由って？
皆が激怒している理由って？
まさかまさか。
全てにおいて、土方のせい？
「昨日さ、スッゲェ良い所で携帯鳴ったからさ」
うん。鳴ったから？
「ついポチッとボタン押した」
ポチッとボタン。
ソレって、電話取ったって事じゃん。
「で、切るの面倒かったからさ」
いやいやいや、ソコは切ろうよマジで。
「そのまま放置した」
おいソレって。
「分かりやすく言えば、ワザと聞かせた」
は？？？聞かせたってまさか？
「抱いてる声聞かせれば、今お前が何処に居て誰に愛を囁いてるのか分からせられるだろ？」
はぁあ！？
信じられない。
何考えてんだ？土方。
ええっと、つまり考えるとこうか？
夜遅くなっても帰って来ない俺を心配した新八。
皆を呼び寄せて、それでも居場所が分からなかったから俺に電話した。
んで、その電話に土方が俺の声を聞かせた。
って事か？
という事は、まさか？
「コレ聞いたの誰？」
恐る恐る尋ねる俺。
『お願いします。どうか晋助だけでありますように』
必死に願う。
が
「此所に居る全員だが？」
ヅラに睨まれ
『マジで？』
泣きそうになった。
か、勘弁して下さい。
俺帰って良いですか？
って、何処にだ自分。
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