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T-U
「カレー1つスペシャルで」
「はい、畏まりました」

有言実行。
本当に土方は来た。
なんでぇ!?

でもさぁ、毎日はないだろ。
よっぽど暇なのか?

「お待たせ致しました」
マヨでLOVEと言う文字とHeartを書くと
「あ〜ん」
食べさせる。

メニューのスペシャルとは客の希望を叶える事である。


「銀さ〜ん」
他のお客に呼ばれる。
人気者は大変だ。

ハッ!!しまった。
俺本名で呼ばれてる時点で素性バレバレじゃん。
偽名使用しとくべきだったかな?
えっと、パー子とか?

「俺余所行くから帰ってて良いぞ?」
そう言ったのに
「いや、待ってる」
土方は優しく微笑んだ。
うっ、輝いてるよ。
そんな美形オーラは可愛い彼女に使えっ!!!


約30分後
『ふぅ〜。少し疲れたな』
ようやく客足が減った。
が、土方はまだ待っていた。
ゆっくりテーブルに戻った途端
「デザート食べたい」
耳元で囁かれた。
ちょっ、止めろよ。
変な気持ちなるからさ。

3分後
「お待たせ致しましたぁ」
フルーツ盛り合わせをテーブルに置いた。

「あのさ、まだスペシャル続行中?」
う〜ん。。。
「まぁ〜長い事待たしたから良いけど?」
沢山待って貰ったしな、今回だけ特別だ。
「はい、あ〜ん」
可愛らしく生クリームを掬ったスプーンを近付けた。
なのに
『え!?』
グィッ、勢いよく引き寄せられた。

「銀」
ちょっと待て土方!!
ゆっくり近付いてくる綺麗な顔。
「〜つッ!!!!」
後少しで唇が触れる直前。
ベシッッ!!!!!!
メニューで頭を叩かれた。
「痛〜っ!!」
「お客様キスはダメですよ?」
笑顔の店長。
『助かったぁ〜』
ギロリッ、俺にだけ厳しい視線を遣うと
「次今みたいな事したらクビか減給だからな」
物凄く低くて怖い声で囁き、店長は消えた。
『こ・怖っ!!!』

「悪い」
店長が立ち去った途端謝った土方。
「お前さぁ〜他の客が真似したらどうすんの?」
軽く溜め息を吐きながら呟いた。
「そしたら辞めさせる」
はい!?って、どっちを?
客か?それとも仕事か?

「つか、こんなバイト辞めろ。金無いなら戻って来い」
「無理」
俺には晋助居るし、お前にも彼女居るだろ?
「高杉が居てもいいから・・・」
ちょっ、顔近付けるなって。
ドキドキするだろ?
「でも」
ヤバい、なんか心臓バクバクしてきたよ。
「好きだ、銀時」
ぇ?
って、ちょっと待ったぁーーーっっ!!!
「お前彼女居るだろうが」
「はぁ???」
ん?違うのか?
「最初この店来た時可愛い女の子と居たじゃん」
美少女だったしさ。
悔しいけどスッゲェ似合ってたぞ。
って何悔しがってんだ?俺。
オカシイだろ。
「バカ?」
はい!?
お前今何て言った?
バカって誰の事だよ?
「アレは親戚」
え?
「俺が好きなのはお前だけだ、銀時」
嘘。
だって俺お前振ったんだぞ。
「高杉を好きでも構わない。もう一度、俺を見てくれないか?」
ドクンッ、激しくなった鼓動。
「好きだ」
キュッ、抱き寄せられた。

どうしよう。俺、嫌じゃない。
寧ろ嬉しくて堪らない。
って、ダメじゃん。

「ダメだよ土方。俺お前に愛される資格ない」
だから離して?
潤んだ瞳で見上げると
「難しく考えなくて良い。俺が幸せにしてやるから」
チュッ、額に口付けられた。
そのままゆっくり移動した唇。
キスされる。
そう思い瞼を閉じた。
あと少しで触れ合う直前
「ぎ〜ん〜と〜き〜」
低い低〜い店長の声が耳に届いた。
「そういうのは外でやれっ!!!!!!」
しまったぁ、此所店だったよ。
うっわ、店長ご立腹???
「今日はもう帰れ」
ポイッ、ごみ捨ての要領で2人仲良く追い出された。

あ〜あぁ、クビ決定?
泣いて良いですかぁ?

「折角見つけたバイトだったのにさ、クビんなったらどうすんだよっ!!」
俺は怒った。

『え???』
ヒョイっと持ち上げられた。
『えっと、コレって姫抱き?』
で、そのまま歩きだされた。

お〜い、何処へ連れて行くんですか、コノヤロ―!!
銀さん怒ってるんですからねっ!!!

ジロリ睨んだが、涙目で上目遣い気味に睨んだせいか、効果はなかった。
なんかムカつく。


で、辿り着いたのは見慣れた部屋。
「って此所お前の部屋じゃん」
相変わらず俺はお姫様抱っこのままだ。
「いい加減降ろせよ」
再び睨み付けると渋々ベットの上に降ろされた。
すかさず座り直し
「土方?」
名前を呼んだ。
スッ、頬に触れる手。
近付く顔。

ちょっ、コレヤバくないか?

「戻って来いよ、銀」
って、お前狡すぎっ。
俺がお前の優しい笑顔と声に弱いの知っててやってんだろっ!!

「無理だってば」
口では断るが、近付いて来る土方を拒絶出来ない。
スッゲェドキドキする。

「ちょっ・・・やぁっ・・ン・・・・ッ」
ほんっとどうしてこんなにキスが巧いんだよ?
触れ合う唇。
段々と力が抜けて行く身体。

「土方ぁ・・・っ」
流される。

・・・って、ダメじゃんっ、俺!!!!
必死に自分に活を入れる。

「ダメって言ってんだろ〜がっ!!」
怒鳴った瞬間
『んんん?』
♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜
突然着うたが鳴り響いた。
この着うたは晋助だ。

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