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U
「銀」
低くて甘い声。
甘いキス。
甘い仕草。
愛されてるなぁ〜って自覚出来る。
コイツの隣りは居心地が良い。
だから一緒に居るんだ。
多分ソレだけ。


「お前さぁ〜ソレ以外も食べろよ」
只今俺は土方と食事中。
ソレとはパフェの事だ。
それも苺とアイスとプリンが乗った特大の。
スッゴク幸せ。
なのに
「冷めないウチに食えよ」
得体のしれない物体を薦める土方。

テーブルの上には不思議な物が2つ。
どうやら土方スペシャルと言うらしい。

「冷えたら美味しくなくなるぞ?」
マヨが大量に乗ったカツ丼を食べながら土方が言う。

って、それ何?
大体カツ丼にマヨはないだろ普通。
マヨ好きなのは分かる。
が、それを人に強要するのはやめろ。

「普通のが良い」
「はぁ〜?お前コレ美味いぞ?食わず嫌いは良くない。食べてみろっ」
絶対無理。

結局カツ丼を2杯食べた土方は
「なんでこの味が分かんねぇ〜かなぁ?」
頭を捻りながら一緒に店を出た。



「おっ、コレ良いんじゃね?」
マネキンを見て土方が言う。
「あっ、好きかも」
「コレ銀時似合いそうだな」
仲良く2人で洋服物色中。
映画観て食事して買い物。
これってデートか?

土方は殆ど毎日俺の隣りに居る。
最初はウザかったが、今となってはそれが当たり前の様になってしまった。
慣れって怖い。

毎日側に居て、毎日キスして、異常な位優しく抱いてくれる。
土方はマメな奴で、メールも電話も怠らない。
勿論毎日気持ちも伝えてくれる。
容姿も性格も問題ない。
マヨを除けば、完璧な理想の彼氏だ。
異常な位モテるコイツが、どうしてお金を出して迄俺と付き合ってるのか。
不思議でならない。



「あっ、スーパー行っても良い?」
「はぁ〜?」
「今日さぁ〜仕事だから」
「って、近藤さん?」
「うん、そう」

雑貨と洋服を物色した後2人でスーパーでお買い物。
なんかこれって
「これって新婚っぽいよな」
土方のセリフで、俺は真っ赤になった。
流石似た者同士。

「銀。顔赤い」
「しょ、照明のせいだ!!」
「なぁ〜今度俺にも何か作って」
「なんで?」
「近藤さんには作ってるだろ?」
「仕事だから」
「なら近藤さんにもキスするのか?」
意味不明。
なんで俺がゴリラとキス?
想像もつかない。
つか、無理だから。



手際良く下ごしらえを済ませ、完成した料理を配膳する。
そんな俺を見て
「なぁ〜。なんか今日急いでない?」
ゴリラが不審そうに尋ねた。

「ん?土方がさぁ〜料理作ったらスグ来いってウルサいの」
俺のセリフを聞いた瞬間、ゴリラは目に見えて機嫌が悪くなった。

あれ?俺なんかマズい事でも言ったか?

「トシとは何処までしてる?」
「って、ぇえっ?」
「幾ら払えば良い?」
おい、嫉妬丸出しにすんなよ、もぉ〜。
「近藤さんが好きなのは姉貴だろ?」
呆れながら言い放った途端グィッ
「痛っ!!」
無理矢理引き寄せられた。
この馬鹿力ぁ!!
痛いだろうがっっ。

「好きだ。銀時」
『ちょっ、耳元で囁くなっ』
囁きながら近付いて来る唇。

・・・嫌だ。
嫌だ!!
嫌だぁっっっ!!!!

ドンッッ、力任せに突き放すと
「俺に触んなっ」
俺はゴリラの部屋から逃げ出した。



「銀?」
ゴリラの家を出た瞬間、聞こえた土方の声。
『家の前で待っててくれたんだ』
ギュウゥ〜!!思いっ切り抱き付いた。

「銀時???」
突然の俺の行動に
「え?」
土方は驚いている。

耳元で囁かれた声。
奪われそうになった唇。
思い出すだけで嫌悪感がした。

どうしてだ?
どうして土方とは出来るのにゴリラとは出来ない?

「土方」
名前を呼ぶと自ら唇を重ねた。
驚きながらも土方は、優しく髪を撫でて
「ん・ぁっ」
キスに応えてくれた。

この日、初めて俺は自分からキスをした。

土方になら触れられても嫌じゃない。
側に居たいとさえ願ってしまう。

この感情は一体何なんだ?

分からない。


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あきゅろす。
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