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T-U
「俺好きな奴居るから」
我に返るなり速攻で断ったが、
「付き合ってるのか?」
土方は簡単には引き下がらなかった。

「いや」
「なら告白したのか?」
オイオイ。
「どんな奴だ?」
「俺の知ってる奴か?」
凄い勢いで始まった質問攻め。
「言うつもりねぇよ」
少しウザくて顔を逸らした。

俺が好きな奴は幼馴染み。
名前は高杉晋助。
綺麗な顔をした奴で、中1の頃迄毎日の様に一緒に居た。
今は引越ししたせいで離れている。

初めて逢った時から大好きで、殆ど一目惚れに近かった。
だけど告白はしなかった。
ずっとずっと一緒に居られると思い込んでいたからだ。

漆黒でサラサラな髪。
スッゴク綺麗で大好きだった。
だからかなぁ?
土方と居ると思い出すんだ、アイツの事。
土方もサラサラの黒髪だから。

結局俺が独り身の間だけでもいいからって事で、俺は土方と付き合う事になった。
報酬は月50万円。
ムカつく事にコイツも金持ちなのだ。
どうして俺の周りは金持ちばかりなんだ?
なんか不公平じゃないか。

「・・・んっ」
尚且つ最悪な事に身体の相性も良いから始末に悪い。
「あっ、土方ぁ・・・」
情けない程零れる高くて甘ったるい声。
誰の声だよ?俺は女か?
何気持ち好くなってんだよ。
ほんっと最悪だ。

好きかと言われたら即答出来ない。
けど、嫌いかって聞かれたら嫌いじゃないって言える。
不思議だ。
付き合う前迄は大嫌いだったのに。
コイツと一緒に居るとテンポが狂う。
だから出来るだけ逢わない様に気を付けている。


なのにどうしてだろう?
行く先行く先で、出逢ってしまう。
時々待ち伏せしてんじゃないかとか
ワザとじゃないのか
って突っ込みたくなる。
けど、故意じゃないから仕方がない。
もう、どうしてこんなに気が合うんだよ?
このままじゃ流されてしまいそうだ。

ハァァーーー、思いっ切りため息を吐いていると
『ん?』
目の前にエリザベスが現れた。

アレ?
なんかちょっと小さい様な。

「コレやるから元気出せ」
・・・ってヅラぁ〜?
そんな名残惜しそうな目でヌイグルミ見るなよ。
やるって、未練タラタラじゃねぇか。

「遠慮しとくよ」
苦笑いで返却すると、嬉しそうにエリザベスヌイグルミを持って去って行ったヅラ。
おい、ヅラお前何しに来たんだよ?
桂に迄心配をかけてしまう程考え込んでいたんだ、俺。
もう考えるのはヤメだ、ヤメ。
こんなの俺らしくない。
俺は深く考えるのを中断した。
だがそのせいで結局流されまくった俺は
『なんでだよ?』
いつの間にか、土方と公認の仲になってしまったのだった。




土方との仲が公認になってから、5ヶ月が過ぎた。
相変わらず俺は流されてばかりだ。
鏡を見ると嫌になる。
無数に愛された痕があるからだ。
俺一体何してるんだろう?
どうしてこんなにも愛されているのに応えてやれないんだ?
どうしていつまでも初恋にこだわっているんだ?

自分で
自分が分からない。

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あきゅろす。
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