[携帯モード] [URL送信]
T-T
第一部【夜桜】

ハラハラと舞い散る花びら。
毎年夜桜の季節になると思い出す
幼き日の思い出。
俺はあの日から
桜に囚われたままだ。

「銀さ〜ん起きて下さ〜い」
今日も眼鏡の声がする。
「なんだよ、新八」
どうせ起こすならせめて神楽にしろよ。
朝から目覚め悪いなぁ。
「早く起きないと姉上のかわいそうな卵焼きが来ますよ?」
ガバァッ
慌てて飛び起きる俺。
朝からアレはちょっと無理だ。
アレは卵焼きなんかじゃない。真っ黒だし。
「銀さ〜ん。まだ起きないの?」
その声が聞こえた瞬間、俺は真っ青になりながら台所に走った。

「銀ちゃん遅いアル」

俺の名前は坂田銀時。
妹の神楽と親戚の新八とその姉お妙の4人で、大きな屋敷に住んでいる。
俺の両親は神楽が産まれてスグ事故死した。
その後俺と神楽はお妙の家に引き取られた。
理由は母親同士が親友だったかららしい。
で、お妙達の親は?って?
去年不慮の事故でこの世を去った。
なので今この屋敷には俺達4人しかいない。
両親達の遺産はあるが、この家はかぁなり火の車だ。
その為俺と新八はバイトをしている。
新八は早朝の新聞配達。
在り来たりだが、新八らしい。

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜
「いただきます」
食卓の上の箸を持った瞬間、流れた携帯の着歌。
ゴリラからだ。
なんだろうと思いながら開いたメール。

[今日は来てくれないのかなぁ?]
ん?今日???
あ〜忘れてた。
今日はゴリラの所に行く日だった。

「銀さんメール誰からですか?」
「あっ、ゴリラ。ちょっと俺仕事思い出したから朝食いいや」
そう言うと
「行って来ま〜す」
俺は制服に着替えて家を出た。
俺の家からゴリラの家は徒歩5分だ。
因みにゴリラの名前は近藤さん。
見た目ソックリだから勝手にネーミングした。




ピンポーン♪
押した玄関の呼び鈴。
が、反応ゼロ。
仕方ない、ちょっとだけ待つか。
そう思いジィッとしていたが、5分経過しても反応はなかった。

『寝てんのかな?』
軽く溜め息を吐くと、ガチャガチャ合鍵で玄関を開けた。

数回呼び鈴鳴らしても反応なかったんだ。
別に入っても構わないよな?


ガチャッ、寝室のドアを開けると
『やっぱりな』
案の定ゴリラはまだゴロゴロしていた。

はぁ〜漏れる溜め息。
仕方なく俺は先に朝食の準備から始めた。

トントンと出来上がった料理を盛り付けて食卓に並べる。
んが、まだゴリラは来ない。
ったくもぉ〜俺が遅刻すんだろぉ〜が。

「近藤さん起きて!」
布団に近付き呼び掛けると
「キスしてくれたら起きるぅ〜」
無理な発言をされた。
ていうか、寝惚けんな。
折角起こしてやってんのにさ、なんかムカつくだろ?

「帰ろぉ〜かなぁ?」
サラリ冷たく言い放つと
「お、起きますっ!!!」
漸くゴリラは起きた。
その後ゴリラと朝食を食べて片付け等身の回りの世話をした俺は、そのまま一緒に登校した。
何故か嬉しそうに繋がれる手。
デレデレしてるしこの人理解不能。
やっぱゴリラとは波長合わないのか?
仕事とはいえ、解り会えない相手の側に居るのは少し疲れる。

あ〜説明し忘れてたな。
俺の仕事は万事屋。
金が貰えるなら何だってする。
まっ、出来る範囲内だけだがな。
で、ゴリラは常連客。
頼まれた日に身の回りの世話をしてあげている。
報酬は月35万円。
完全ボッタクリに近いが、ゴリラの家は金持ちだから余裕で払えるのだ。
こっちは火の車だってのに貧富の差って哀しい。


「なぁ、お妙さんはいつになったら来てくれるんだ?」
ゴリラは姉貴が大好きだ。
でも時々俺にも手を出そうとする危険人物。
こんな奴の所に姉貴をやれるか馬鹿野郎。
「多分一生無理」
俺のセリフにそんなぁ〜とか、色々嘆いているゴリラを軽く無視して
「おはよ〜」
俺は教室に入った。
「銀時さんおはようございます」
可愛い笑顔で沖田くんが出迎える。
コイツはビジュアルは最強に良いが、S王子なのだ。
最初知った時は軽くショックを受けた。

「銀時おはよう」
「あっ多串くんおはよ」
「土方だ、土方」
ワザと間違えて呼ぶ。
コイツも飽きずに毎日よく訂正&突っ込み入れるよなぁ。
実は土方も俺の仕事の常連客だ。
コイツとの始まりは想定外だった。



放課後、用があるからと呼び出された俺。
なんだよ?嫌々ながら向かった空教室。

「好きだ」
突然告白された。
一瞬思考回路が遮断されて何を言われたのか分からなかった。
つか、理解出来なかった。
顔を合わせる度言い争いが勃発。
何故か似た者同士らしく好きな物や行動迄似ている。
それが気に食わない。
同族嫌悪ってヤツ?
俺が毛嫌いしてる位だから、コイツも俺を嫌っていると決め付けていた。
だから好きだと言われた瞬間、頭が真っ白になったのだ。

[*前へ][次へ#]

2/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!