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X-T
【Act.5】

階段から落ちたにも関わらず、軽傷だった俺は
3日間の検査入院の後、スグに学校に復帰した。

「おはよう銀時」
約2日振りに見る顔。
あれからスグ病室に来た医師に、ガミガミ怒られたからだ。

そりゃあ、目を覚ました直後病室でヤったら怒られて当然だが。

《恥ずかしいからもう来ないっっ》
真っ赤な顔で逃げる様に病室を去った銀時。
ほんっと可愛い奴。
別に照れなくても良いのにさぁ。

「もう大丈夫なの?」
潤んだ瞳で見詰められ
『だからお前のせいだろうが』
突っ込みたくなったが
「まぁな」
クシャクシャ髪を撫でてやった。

「土方あのね」
銀時が口を開いた瞬間
「おい、土方呼ばれてんぞ?」
又々呼び出された。

「スッゲェ。流石土方」
周囲の声が物凄く五月蠅い。
『なんだよ一体』
廊下に出ると、顔を真っ赤に染め上げた女子が居た。
確か男子の間でスッゲェ人気のある美少女。
長くてクルクルした栗色の髪。
大きな瞳をウルウルさせて
「退院おめでとうございます」
か細い声で告げた。

多分沢山の男子の目には、今彼女の後ろに華か何かが見えているのかもしれない。

あ〜あぁ、マジ勿体ねぇ。
多分物凄く可愛いんだろうなこの女。

なのに
「好きです」
告白されても嬉しくない。
「悪い。興味ない」
冷たく言い放った。

オイオイ、ほんっとマジ勘弁してくれよ。
どうして世間一般で言われる美少女より、銀時の方が可愛く見えるんだよ?

「勿体ねぇ〜土方」
スッゲェブーイングが聞こえる。

ほんっと勿体ないよ自分。
だけど仕方ないだろ?
俺は銀時の顔にしか反応しねぇんだよ。

昔っからそうなんだ。
どんなに可愛いと言われる女の子や
綺麗と言われる女性に想いを告げられても
ドキドキしねぇ。

なのに
アイツの笑顔や何気ない仕草を見ると
ドクドクと、胸が早鐘の様に反応する。

マジでムカつく。
ほんっとアイツ疫病神。
アイツのせいでどんな女性にも反応しねぇ。
最悪だ。

ヅカヅカ席に戻ると
「良いのかよ、あの子。マジで勿体ないぜ?」
5・6人に言われた。

分かってるよ。
自分でも勿体ねぇって事位。
だけど仕方ねぇだろ?

ギロリ銀時を睨み付けると
「え、なっ、何!?」
銀時が慌てた。

が、焦る姿さえ可愛く見えてしまう俺は
かぁなり病んでいる。

「何でもねぇよ」
プイッ、目線を逸らすと
「そう?」
銀時は少し顔を曇らせた。

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