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W-T
【Act.4】

仄かに香る薬品の匂い。
一瞬で病院だと分かった。

「大丈夫?」
自分で落としたクセに何泣いてんだ?バカ。
「俺の事分かる?」
分かるに決まってんだろうが。
少しムカついたから、知らない振りをしようとしたが
「なんだよ銀時」
名前で呼んでみた。

ピクッ
突然名前で呼ばれて驚いたのか
『ん?』
震えた肩。
銀時は俯くと
「ごめんね。酷い事したって分かってる」
消え入りそうな声で謝りだした。

「謝るなら教えてくれ。記憶喪失の間一体何があった?」
お前は全て知ってるんだろう?

フルフル頭を横に振る銀時。

「お願いだ。教えてくれ銀時」
もう1度名前で呼ぶと、又ピクリ身体が反応した。
どうしてだ?
名前で呼ぶ度震える身体。
名前に何かヒントがあるのか?

「銀時」
確める様にもう1度、今度は優しく呼んだ。
瞬間赤く染まる頬。

銀時?

「嘘・ついたんだ俺」
え?
「記憶無くしたお前に恋人だって言った」
はぁ?
「最初は悪戯だったんだ。いつも意地悪なお前がどんな反応示すのか見てみたかった」
何だよソレ。
「だけど・・・お前にキスされて」
え、今何て言った?
「気付かされたんだよ」
気付いたって何?
「お前が好きだって」
え?
「初めて会った時から・・・本当はずっと好きだった」
嘘だろ?
「でもお前俺の事嫌ってたからずっと気付かない振りしていた」
ゆっくり頬を伝い落ちる涙。
「傷付きたくなかったからずっと我慢してた。けれど、お前に抱かれて」
ん?
「愛されてもう2度と嫌われたくないって切に思った」
溢れる涙。
ポタポタとシーツに染みを作る。

ああ、スッゲェ綺麗だ。
銀時お前可愛いよマジで。

「トシは沢山俺を愛してくれた。数え切れない位キスしてくれて」
はい?
「物凄く沢山抱いてくれて。いつもいつも愛してるって言ってくれた」
ソレ本当に俺か?
思いっ切り別人だろ?
「だから俺を愛してくれない土方は見たくなかったんだ」
オイオイ。
「だから突き飛ばしたってか?」

「ごめんなさい」
謝る位なら最初っからすんなよ。
「ごめんなさい。何でもするから」
え、何でもって?
「だから・・・嫌わないで?好きになってと迄は言わないから」
お願い。

涙目で訴えられ
『ヤバッ、コイツマジで可愛過ぎる』
理性が崩れ掛けた。

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あきゅろす。
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