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T-V
「おはよう」
翌日土方は、普通に登校した。
記憶以外、殆ど支障が無かったからだ。
「記憶喪失って本当か?」
沢山の人が土方の回りに集まる。

「ああ、出来るだけ早く思い出すからさ」
申し訳なさそうに言う土方。
が、約1時間後には学校内の殆どの人の名前を覚えてしまった。

コイツ頭良過ぎ。


昼休み
「屋上行く?」
俺は土方を連れ出した。
屋上に着くなり
「銀、あのさぁ。どうして教室で話し掛けてくれないんだ?」
土方に聞かれた。

俺は出来るだけ土方を避けていた。
原因はタダ1つ。
今迄仲良くなかったのに、急に仲良くしたら怪しまれるだろ?
「恋人なんだよな?」
不安そうに聞かれ
「バカだなぁ、トシは。隠してんだよ、皆には。男同士だし」
ふわり微笑んだ。

出任せだ。
なのに
「そっかぁ」
にこぉ笑い返され
『ぇっ?なんでそんなに嬉しそうなの?』
ビックリした。

「嫌われたかと思った。俺がさ、忘れたから」
優しい口調。
「お前の事だけでも早く思い出すからな」
ズキンッ、罪悪感で胸が締め付けられた。

やっぱり悪い、こんな嘘。

「トシ、あのさ」
言わなきゃ、
「ん?」
嘘だって。
騙してごめんって。
なのに
「銀時?」
ふんわり優しく見詰められズキズキ胸が痛んだ。


違う。
今迄のコイツは、俺にこんな態度じゃなかった。
逢えばいつも憎まれ口を言われ、邪険に扱われていた。
今本当の事を言ったら、絶対に嫌われる。
・・・ヤダ。
そんなの嫌!!

「どうした?」
ハラリ零れた涙。
優しく拭われた。

今迄みたいな関係には戻りたくない。

「銀時?」
「消えないで・・・」
身体が勝手に動いた。
「銀?」
自分から抱き付くと、触れるだけのキスをした。

「・・・側に居て?」
温かくて広い胸。
物凄く安心する。
泣きながら懇願すると
「ああ」
ギュゥッ、力強く抱き寄せられた。

苦しいよ、土方。
側に居て?
この腕の中は、異常な位暖かいんだ。
離したくない。
お願い土方。ずっと、抱き締めていて?
キュッって、離さないでいて?

「抱いて?トシ」
その後俺は、屋上にも関わらず
「良いのか?銀時」
「うん。トシが欲しいんだ」
「・・・・・銀・・・」
自分から土方を求めた。

「好き」
自然に口から出た。

そうか、俺今のコイツが好きなんだ。
前のアイツじゃなく。

俺がアイツを嫌いな理由。
ソレは、アイツが俺の理想だったからだ。

でも一番の理由は、嫌われていたから。

ソレは、俺がお前に何をした?って問詰めてやりたい位だった。

愛想の良いアイツが、何故か俺にだけ・冷たかった。

だから、今
「嫌わないで」
嫌われたくない。

「・・トシ・・・」
優しいキスで惑わして?
「好きだよぉ・っ」
好きだって言って?

「トシは俺の事好き?」
俺を否定しないで。
「ああ、好きだ」
もう二度とお前に嫌われたくない。


トシに愛される時間がずっと続いて欲しい。
このまま一生愛されていたい。

だからお願い。
ずっと、ずっと、側に居て?

俺を離さないで?

「好・き。大好き」
甘える様しがみつきながら
「可愛いな銀時は」
耳打ちした。

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