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T-U
『怠いなぁ』
授業中、ぼぉ〜っと見詰めていた黒板。

「ひ・土方!?」
ビクゥッ!!身体が竦んだ。
「お前、顔近過ぎっ」
突然近くに現れた綺麗な顔。

「ん?お前熱あんじゃねぇ?」
コツンッ、合わせられた額。
『た、体温計使え!!体温計っ!!』

「顔赤いな」
『いや、お前が近くに居るからだよ!!』
至近距離のせいで、バクバク騒ぐ胸。

「先生。ちょっと俺コイツ保健室連れて行きます」
『ぇっ、別に言いのに』
「坂田、大丈夫か?」
心配する先生に告げると、土方は俺を連れて教室を出た。

『ったくもぉ〜、無駄に優しくすんなよなぁ』


《出張中》
保健室の扉に紙が貼ってあった。
が、容易く開いた扉。
『オイオイ、戸締まり位しとけよ先生』
俺は呆れながら中に入った。

ヒョイッ、軽く持ち上げられる身体。
スッゲェ恥ずかしい。
俺をベットに寝かし付けると
『ぇっ、もう行くのか?』
土方はスグに去ろうとした。

『ヤダ』
瞬間頭を過ぎる嫌な光景。
俺が居ない間コイツはアイツの側に行く。

土方は沖田くんと付き合っている。
だから誰よりも側に居る時間が多いのも当然の事。

だから分かっているのに。
なのに、どうしようもなく・嫌だった。

キュッ
「何?」
不思議そうに聞かれた。
俺が、無意識に服を掴んでしまっていたからだ。

「ほんの少しで良いからさぁ、居て?」
声が震える。

5分でも、1分でも良い。
数秒でも良いんだ。

側に居させて?


フワリ、触れ合う唇。

俺が誘った。

ダメだと分かっていても、我慢出来ない。

それ位、俺は土方が好きなんだ。

流れる涙。

キスされるだけで、俺は嬉し涙を流した。

「お前可愛いな」
優しく撫でられる髪。
その何気ない仕草さえ嬉しくて堪らない。

どうしよう?
止められない。

「好き」
言ってはいけないって分かっていた。
それなのに、無意識に口から零れた。

想いが溢れて、もうこれ以上・押さえる事が出来ない。

「・・・銀」
土方が何か言おうとした瞬間。

ガラガラガラ、勢い良く開いた保健室の扉。
「土方さん迎えに来ましたぜぃ」
爽やかに笑いながら、沖田くんは俺から土方を離した。

「銀時さんはゆっくり寝てて下せい」
優しい口調とは裏腹に、ギラリと睨みつけられた視線が・俺を責めていた。

土方さんは渡しやせん
そう言われた気がした。

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あきゅろす。
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