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新八の願い事。
『一攫千金』
・・・・・はぁ!?
「っておい。お前もっと違う事書け」
「そうアル」
「っておい。お前も一緒だぁ」
神楽の願い事。
『酢昆布一生分』
・・・・・って、オイ。


たくもぉ〜、どうしてうちの子達はこぉ〜夢がないんだ?
普通もっとあるだろ、色々と。

「そぉ〜いう銀さんはなんて書いたんですか?」

ヤバっ!!

「えっとそれはそのぉ〜秘密だ」
見せれるワケない。

俺の願い事。
それは・・・・・俺の願望。


この家に住む前迄、俺はずぅっと各地を放浪していた。
理由はタダ1つ。
俺の前から消えた、アイツを探す為。

アイツが行きそうな所全て、思い付く限り探し回った。

だが、擦れ違いだらけなのか、全く逢えなかった。
毎日毎日、アイツの事を思い出して。
気が遠くなる程、アイツの事を考え続けた。

けれど全然逢えなくて、
苦しくて堪らなかった。


だけど、最近はかなり楽になった。
新八や神楽達が、一緒に居てくれるからだ。

万事屋。
それは俺の居場所。
此所に居れば嫌な事を考えずに済む。

なのにどうして?

どうしてあんな事願ってしまったんだろう?



気が付くと、先生のお墓の前。
無意識に足が此所に向かっていた。

逢いたい。

「晋助」
消え入るかの小声で俺は呟く。

逢いたいよ・晋助。

俺の願い事。
『晋助に逢いたい』

逢って何がしたいのか、とかどうでもいい。
ただ逢いたい。
アイツの顔を見て、声が聞きたい。
ただ、それだけなんだ。

もう何年も逢ってない。
限界。
禁断症状一歩手前。


「逢いたいよ」
ポツリと呟いた瞬間。
フワリと漂った独特の甘い香り。

間違う筈ない
・・・晋助だ・・・。
「墓参りか?銀時」
つぅ〜っと涙が頬を伝う。
「晋助ぇっ!!」
俺は晋助に縋りついた。
此所が外だとか、まだ日も暮れていない、とか・何も考えられなかった。

ただ、ただ・逢えた事が嬉しくて

強く強く、晋助の服を握り締めた。

貴方に逢えた喜び。

俺はこの日、初めて七夕を好きになった。

「・・・大好き」

久々に伝えた言葉は、晋助の唇によって塞がれた。


1年に1度だけでも良い。
一瞬だけでも愛しい人に出逢えるのなら。

ただ・それだけで

俺は幸せ。


【後書き】
どんなに離れても、どんなに逢えなくても。ずぅっと一途に思い続けるのってなんか良いですよね。
短冊に願って迄逢いたいって思う銀さんと、逢えて喜ぶ銀さんが書きたくて書いた話でした。


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