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T-U
ペロリ
『ん?なんだ?なんか変な感触したぞ?』
頬に感じた不思議な感触。
ゆっくり瞼を開けると
「うっぎゃあぁああーーーっ」
謎の生命体が上に乗っていた。

「銀ちゃん良い加減馴れてよ定春に」
冷たく言い放たれ
「無理」
引きつった。

「頼むから朝は普通に起こしてくれ」
「何甘えた事言ってるね?なら自分1人で起きるアル」
『うっ!!!』

前迄は新八に起こして貰っていた朝。
最近は毎朝定春に起こされている。

スッゲェ可愛いんだけどさ、大きさどうにかしてくんない?
それに何故俺が目を覚ます迄舐めるんだよ?定春。
ワンッ、って鳴きゃあ良いだろ?
いっつもいっつも顔中舐めやがって、俺の顔は甘いのかよ?
この前は首筋とかお腹舐められたし。
定春俺の事食べ物か何かと勘違いしてないよな?
って、考え過ぎか。



ハァァァァーーーッ。食卓に座った途端零れた溜め息。

「何朝から暗い顔してんですか?」
「周りに伝染するから誰も居ない所でしなさい?」
「銀ちゃん食欲無いアルか?ならコレ貰って良い?」

オイオイオイ、なんて薄情な家族なんだ。

「何か悩みあるなら食後聞きますよ?」
新八ぃ。薄情なんて言って悪かったよ。
お前良い奴だなぁ。

お礼の意を込めてニッコリ微笑み、急いで食事を済ませた。


食後
「どうしたんですか?」
俺の部屋に入った途端聞かれた質問。

「あのさ、俺、もうすぐ土方フらなきゃいけないんだよ」
大きな溜め息を吐きながら告げると
「えっ、もう答え決めてたんですか?」
凄くビックリされた。

「うん。だって俺、晋助をフれないから」
「えっ、なんで?」
なんでってソレは。
「怪我させたから」
俺は晋助に負い目があるからだ。

俺の不注意で失明してしまった晋助。
なのに怒りもせず、俺を好きだと言ってくれた。
愛してるって、言ってくれた。
そんな優しい人を、どうしてフれる?
実際物凄く好きだし、晋助となら一生添い遂げても良いとさえ思える。

だが、土方を忘れられない。
一度知ってしまった物凄く優しい温かな腕。
[愛してる]何度も言われ、数え切れない位キスして抱かれた。
俺は多分、土方を一番愛しているのだと思う。

「銀さんが一番好きなのは誰ですか?」
「ーーーーーー土方」
「ならなんでフるんですか?」
って、仕方ないだろ?
ドチラか1人しか選べないのなら、俺は晋助を選ばなければいけない。

「ならもし土方さんをフって、土方さんが銀さん以外を好きになったらどうするんですか?」
「ーーーーーーっぅっ。それは・仕方な・いよ」
分かってる。
フるという事は即ち、付き合えないという事。
だからもし土方が俺以外を好きになっても、何1つ文句等言えない。
だけど無理。
嫌だ。
俺以外を見て、俺以外に触れて、俺以外を愛する土方なんて、見たくない。
考えるだけで発狂しそうだ。
多分俺は嫉妬と哀しみでおかしくなる。

土方を選べないのに、ずっと俺だけを愛してて欲しい。
そんなの我儘だって分かってる。
だけど、頭では理解しているのに、どうしようもなく、嫌・なんだ。

土方を、失いたくない。


「俺、土方に嫌われたくない」
「銀さん」
ポツリ漏らした本音。
同時に涙が零れた。

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