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『隣』
2-1
中3になると、残念な事にまた奏とクラスが離れてしまった。
でも1年の頃とは違って友達も居たし、部活や勉強が忙しくて悲しむ暇がなかった。
因みに俺は野球部で奏と阿波路は美術部。
弱小だし練習はキツイけど、勝ち進めた時は物凄く嬉しいから続けられている。
最初は煩悩払う為親父が小さい頃くれたバッドで素振りをしていただけだったんだけど、どうせなら部活に入るかって感じで入部した。

精神も少し鍛えられたらしく、前程は周囲に嫉妬をしなくなったし、性欲も我慢出来る様になった。
って、余りセーブし過ぎるとイン○になるか?
う〜ん。それはちょっと、いや、かなり嫌かな。
でも奏が抱けないなら、必要がない。
これからも他の人を抱く気は起きないだろう。
素振りをしながら、頭の中をリセットした。


梅雨の時期になり、スッキリしない季節が始まった。
今年は空梅雨らしく、雨が殆ど降らない。
だが、いつ天気が変わるか分からない為、常に俺は折り畳みを鞄に入れていた。

部活で校舎の周りの歩道を走っていたら突然降りだした雨。
朝家を出る時は晴れていたから、殆どの人が傘を持ってきていない。
小雨から本降りになった為、早めに終わった部活。
制服に着替えて下校した。

家に着く直前
「奏」
目の前に見えた姿。
あ〜あぁ。折り畳み持ってなかったのか。
帰る前に確認すれば良かった。
自分が持ってたから奏も持ってると思ってた。
俺の家の方が奏の家より少し近い。
慌てて駆け寄り傘に入れて
「ウチに寄ってって?」
声を掛けた。



「先に入って?」
そう言ったのに俺の家だからと俺を先に浴室に押し込んだ奏。
失敗した。
これじゃ待ってる間奏が冷える。
急いでシャワーを浴びる事にした。

なのに
「ちょっ、え、奏!?」
奏が浴室に入ってきた。
それも素っ裸で。

「ごめん。やっぱ寒いから一緒入るね?」
男同士だから別にオカシイ事ではない。
奏にヤマシイ気持ちなんて一切ない。
なのに、なんて事だ。

「琉翔?」
メッチャ目の毒ーーーっつ!!!

性的に見てしまっている相手の裸なんて見れる筈がない。
水に濡れた姿なんてご褒美でしかない。

ギュッ!
目を閉じていると
「目に泡でも入った?」
奏の掌が俺の頬に触れた。

ゆっくり開ける瞼。
途端広がるは顔の近い奏。
シャワーで濡れた髪から垂れる水滴。
隠す事なく晒された身体。
全てが俺の身体に熱を灯す。

ヤバい。
これはヤバ過ぎる。

ドンドン紅くなる顔。
「琉翔?」
心配そうな顔がより近付く。
ドクドクドクドク、心臓が音を立てる。

心拍数ヤベェ。
「…………!!!」
うっわ、ちょっ、ヤバい。
ちょっ、マジか。
俺…………………………勃ってる。

あっ、良かったぁ。イン○じゃなかった。
じゃなくて、バレる。
嗚呼、俺、死んだ。

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あきゅろす。
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