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『隣』
1-3
最初は戸惑っていた奏だったが、友情の延長線上の行為だと言うと納得したのか、それ以来は何の抵抗もなくなったらしく、俺達は毎日キスをする様になった。

奏が単純で良かった。


2年になって漸く奏と同じクラスになった。
毎日一緒に居られるのが嬉しくて俺は毎日笑っていた。
その頃になると、先生に隠れてエ○本を持ってくる奴等が増えて、俺は回し読みで初めてエ○本を目にした。
で、気付いた事なのだが、どうやら残念な事に俺はどこかおかしいらしい。
皆が喜ぶページを見ても何も反応しないのだ。
ヤバい俺10回は抜いた。
いや、俺は20回。
皆が言ってる中で、俺だけが違った。

可愛い女の子、綺麗で妖艶なお姉さま。
様々な美少女や美女を見ても、可愛いとか綺麗とかは感じるが、唯それだけ。

自分には性欲がないんだろうか?
それともまだ興味がないだけ?
不安を感じていたが、そんな事言えない。
なので適当に相槌を打って遣り過ごしていた。


所が、ある1冊のグラビアを借りてきた事によって、俺の人生はまた狂った。
例によって友達から回ってきた本。
回し読みな為、どれが誰の本かは分からない。
どうせ今回も唯目を通すだけで終わるだろう。軽い気持ちで家に持ち帰り、パラリ適当に開いた。
アクビをしながら本に目線を移すと
「え?」
俺は目を見開いた。

瞳と鼻の形が奏に似ていた。
性別も髪型もスタイルも全く違うのに、唯その2箇所しか似ていなかったのに、彼女が奏にしか見えなくなってしまった。
脳内を占めるのは女体化した奏の姿。
最初は化粧を施した美女だったのに、いつの間にか素顔になって。
ここに載っているのが全員奏だったら良いのに、と迄思うようになった。
今まで全く反応しなかった身体が変わった。
奏の事を考えるだけで熱を帯びる。

この日を境に、俺は奏に欲情する様になってしまった。

挨拶程度の軽いキスは誤魔化せても、それ以上の行為は誤魔化しが効かない。
なので奏に欲情した時は必死に円周率や難しい公式や古文等を頭に思い浮かべて、遣り過ごした。

長時間二人っきりになるのは危険だ。
気を抜くと手を出しかねない。
一度寝ている奏にキスしそうになって、真っ青になった。
奏を性的対象として見る様になってからキスは止めた。
軽いキスだけじゃ止められそうにない。
無理矢理犯して嫌われたら、俺は生きていけない。
自分を制御する為に、俺は阿波路に頼んで、二人っきりになりそうな時は来て貰う事にした。

毎日阿波路や煩悩を振り払う円周率とかのお蔭で、どうにか踏み留まっていられる。
奏も阿波路も楽しそうだし、自分も奏に嫌われてないから、このまま我慢し続ければ幸せな時間は続く。
これは恋愛ではない。行き過ぎた友情だ。
そう言い聞かせ、自分を誤魔化した。

このまま行けば、いつかきっと他に好きな人が出来て、嗚呼、あんな事もあったなと笑い話に出来る。
奏の笑顔を見ながら思っていたのに、何故思うように人生は送れないのだろうか。

俺は再び奏にキスをしてしまう事になる。

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あきゅろす。
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