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『隣』
1.奏SIDE
軽いノリで言った筈の告白が、何故か受け入れられ俺は帝の彼女になった。

ていうか、付き合うって何するんだ?
今迄ずっと幸せ過ぎる友充だったけど、リア充を知らずに生きてきた。
恋人同士って、どんな事するんだろう?
分からなくて
「ねぇ、もし彼女出来たら琉翔だったらどうする?」
琉翔に尋ねた。

「はぁ?」
「いや、ね、もしもの話だからさ」
「う〜ん。要らないから考えた事もない」
えっと、うん。聞く人間違ったな、俺。

阿波路に聞くのは何故か嫌だったから、クラスや部活の友達に聞いた。
って、なんで阿波路は嫌なんだろう?
謎。


皆の話によると、恋人同士はいつも一緒に居て休日はデートをしたりするらしい。
で、キスもソレ以上もする。

って、ヤバい。その行為俺全部阿波路としてる。
帝にはバレない様にしよう。
付き合いだしたんだから、もう阿波路とは出来ないな。
嫌だ、寂しいな。
って、だ〜か〜らぁ〜俺しっかりしろ。
気をちゃんと持て。
阿波路は親友だ。そういう目で見ちゃダメなんだって。
アレは友情の延長線上であって、あの行為に特別な意味なんてないんだ。
触れ合わなくても友情は壊れない。
だから我慢しろ俺。
もし触れて貰いたくなったら、これからは帝に頼めば良い。
彼氏なんだから。
まぁ、突然過ぎて実感0だけどさ。
帝とキスとか想像出来ない。



「ごめん。俺今日から帝と昼過ごすから」
「「え?」」
翌朝HRが始まる前に二人に告げると
「カナ、俺の彼女になったからもう触らないで貰える?」
帝が座ったまま振り返り、そう告げた。

あっ、言っちゃった。
まぁ、いずれバレる事だし隠し通せる事じゃなかったから別に良いんだけど
「何時から?」
「昨日」
俺から言いたかった。
「あの、琉翔?」
泣きそうな顔をした琉翔に心配で声を掛けたら
「ごめん、ちょっと今無理」
教室を出て行かれた。

「阿波路、あの、ね」
どうしてだろう?阿波路には知られたくなかった。
「俺彼氏出来たけど、その、嫌わない?」
なんでこんなに怖いんだろう?
阿波路が離れてしまうのが。

「…………嫌わないよ。大丈夫。今までと何も変わらない。奏は俺の大切な親友だ」
「ありがとう」
笑いながら、心の何処かが苦しんでいた。
俺は俺の気持ちが理解出来ない。
分からないんだ。


その日を境に、俺は帝と一緒に居る時間が増えた。
反対に琉翔と阿波路との時間が減っていく。
楽しい筈なのに、何故か寂しさを感じていた。

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