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『隣』
4.
受験という長い苦行を経て、漸く今日から待ちに待った高校生活が始まる。

合格発表の日偶然目にしたあの人は此処に入学したのだろうか。
逢えたら良いな、そう思いながら望んだ入学式。
新入生代表の挨拶が始まって、それは喜びに変わった。

神凪帝(かんなぎ みかど)。スッゴイ名前だけど、全く名前負けしてない。
新入生代表として檀上に上がった彼はあの時見たよりも格好良くてスタイルが良くて、まるでモデルみたいに見えた。
尚且つ声。
イケボ過ぎて耳が妊娠しそうだ。
って、したらホラーだが。
余りの格好良さに俺は釘付け状態。
彼が立ち去った後は、何故か涙まで溢れた。
凄い、マジ惚れ直した。

入学式が終わり、自分達の教室に向かう。
なんとスッゴイ幸運な事に全員同じクラスだった。

やったぁ。幸せ過ぎるだろ、俺。

席替え迄は各自好きな席に座って良いらしく、俺は琉翔と阿波路の真ん中という最強に最高過ぎる席をGetした。
幸先良いな、マジで。

ニマニマしながら二人と話していたら
「ん?」
突然教室の入り口がざわついた。

何かと顔を向けると
「!!」
例のあの人、神凪君が居た。

一緒のクラスだったんだ。
って、ちょっ、ほんっと俺幸せ過ぎじゃね?


殆どの席が埋まっていた為、神凪君が座ったのは琉翔の前の席。
マジか、近いよ。
スッゲェ近い。
マジなんなん?俺。
宝くじ当たった位幸運だよ。
運使い果たしてないよな?

テンションMAXな俺は、ぽぉおーっと神凪君に見惚れた。


翌日から速攻始まった授業。
学校見学あったけどさぁ、2日目から授業とかマジ勘弁。
せめて早く部活始まんないかな。
決めるの面倒だから中学に引き続き美術部かな?
あっ、でも折角だから違うのもしてみたい。
琉翔は多分野球部だろうな。
中学ん時もしてたし。
阿波路は何処に入るんだろう。
茶道とか華道とか書道とか似合いそうだな。
絵になるし。
でもそれじゃ3人共バラバラになるから寂しいかも。

そんなこんな考えているウチにやってきました、部活発表会。
中学と比べて選び放題だ。
第一希望は決めてるが、色々見て回りたい。
そう感じたのは俺だけじゃなかったらしく、俺達は翌日から3人で色々な部活を見学する事にした。

って、多いわ、多過ぎるわぁ。
コレ自由見学期間中に全部見終われるのか?
尚且つどの部も全部魅力的だし、ヤバいわ、俺迷う。
このままじゃ結局全部に入りたくなってしまって選べなくなる。
仕方なしに俺達は部活見学を止め、各自自分が決めた部活に入部する事にした。

俺と琉翔は最初から決めていた美術部と野球部に。
そして阿波路は、なんと華道部に入った。
自由に生けて良いと言われたかららしいが、実際は顧問に無理矢理入部させられたに近い。
和風美人な阿波路が着物で華を生けてたら物凄く絵になる。
部員集めに必死の顧問が半泣きで頼んだらしい。

うん、凄いね。

因みに神凪君はテニス部。
笑顔だけでなく部活迄爽やかなんて、もう、素敵過ぎる。


高校生活に慣れてきた頃、部活や学校生活が楽し過ぎて、皆だらけてきた。
勿論俺も同じくだ。

始まって3〜4日位迄は皆真面目だったのに、徐々に遅刻する人や早弁する人や授業中寝たり話したりする人が増えだした。
宿題忘れたり黒板写さない人まででだしたせいで、先生達がキレた。

「あっ、今週ドッカで全教科抜き打ちテストすっから」
担任が爆弾発言をした。
尚且つ80点以下は2週間昼休みと放課後補習三昧で、最終日に追試をするらしい。
って、これヤバくね?

折角部活に入ったのに、俺達は休まされ、勉強をする羽目になった。


結局、阿波路以外の俺と琉翔は補習&追試組に。

その後俺同様おバカな人達は、これからはもっと真面目にしようと心に誓ったのだった。

あ〜あぁ、もう。ちょっと位羽目外しても良いじゃん。
ツマンネ。

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