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『隣』
2.
「ぁっ、ん、ふぁ、ぁ、ぁっ」
移動するなり再開された行為。
蓋をした洋式のトイレの上に置かれた脱がされた制服。
鍵をしているから誰からも見られないが、いつ誰が来るかも分からないトイレの中、俺達は必死に互いの昂りを扱きながら唇を重ねていた。

琉翔とする行為は気持ち良い。
だけど二人で触れ合えば合う程、阿波路が寂しそうな顔をする。
いっそ、阿波路ともするか?って、違うだろ俺。
一緒に居る時間が一番多い為、必然的に俺は琉翔と一番親密だ。
この行為も琉翔だから拒んでいない。
これが別の誰かから強要されてたら、絶対断っている。



部活が終わり、阿波路と一緒に下校する。
いつも暇な俺は殆ど毎日放課後部室に顔を出しているが、色々忙しい阿波路は時々先に帰る。
その時は別の友達と帰るんだけど、やっぱ阿波路と一緒の方が楽しい。

「今日さ、母さんが父さんの出張に着いてったからさ、家誰も居ないんだ。寂しいからさ、阿波路の家に泊まって良い?」
俺は琉翔の事は知り尽くしているが、阿波路の事は余り知らない。
阿波路が語りたがらないからだ。
「ダメ?」
遠慮がちに尋ねたら
「ごめん」
物凄く申し訳なさそうに謝られた。
やっぱ阿波路に家の話は禁句だったか。
「ならさ、俺の家泊まって?」
これなら大丈夫、だよな?
阿波路の制服の裾を握りながら恐る恐る聞くと
「良いよ」
ニコリ微笑まれた。
あっ、綺麗。
そういえば、阿波路と俺二人っきりで一緒に泊まるの初めてだ。
こうして、二人だけのお泊まり会が幕を開けた。


阿波路と居る時はいつも琉翔が一緒だったから凄く新鮮だ。
家から持たされたと阿波路が持ってきたのは豪華な夜ご飯とお泊まりセット。
二人で食べた後阿波路が食器を洗って、俺が食器棚に戻した。
物凄く美味しかったご飯の後は宿題タイム。
いつもは地獄の時間なのだが、今日は阿波路が居るお陰で楽しくあっという間に終わった。

「お風呂どうする?」
一緒に入る?
聞いたら真っ赤になった阿波路。
なんか可愛い。
「後でで良い」
照れる姿が可愛すぎて
「行こ?」
無理矢理一緒に入る事にした。

なんか本当に新鮮で楽しい。

「あっ、嘘。スッゴイ綺麗」
「ちょっ、見過ぎだって奏」
初めて間近でゆっくり見た阿波路の裸。
運動してる姿見ないから絶対ガリガリだと思ってたのに、綺麗に引き締まっていて驚いた。
細マッチョ?ってヤツだろうか、コレ。
それくらい羨ましい身体をしていたのだ。
顔だけじゃなくスタイル迄良いなんて、なんか羨ましい。
多分コレ隠れて鍛えてるな、絶対。
前にもまして阿波路への謎が増えた瞬間だった。

「奏は可愛いね」
うん、何処見た?今。
凹むぞ?マジで。

これ以上は俺の劣等感を煽るだけなので、髪や身体を洗う事にした。
互いに洗い終わり、狭い浴槽に向かい合わせに入る。
学校であった事等楽しく話しているウチに琉翔の話題になった。
俺が楽しそうに琉翔の事ばかり話していたら、阿波路が少しだけ寂しそうな顔をした。
明らか無意識なのだが、それは時折俺が琉翔と二人っきりで遊んでいるのを遠くから見ている時の表情と一緒で。
「阿波路」
気が付くと俺は
「奏?」
阿波路にキスをしていた。

阿波路に寂しい顔をさせたくない。
それなら琉翔と同じ事をすれば良い。
それは単純な考えで、浅はか過ぎてしてはいけない行為だったのに
「ね、阿波路。しよ?」
俺は阿波路を汚した。


チュッ、チュッ、チュゥ。
可愛らしい音と共に重なる唇。
琉翔と違って、阿波路のキスは凄く甘くて気持ちが良い。
頭の中が真っ白になる。

ハムハムと唇を甘噛みすると、綺麗な指先で唇を開かされ、舌を絡められた。

「ん、ふ、ぅん」
口腔内を全て余す事なく嘗められ、唾液が混ざり合う。
それすらも甘くて、脳内が痺れる。

何これ?
物凄く気持ち良い。

「奏、ごめん。これ以上は止められなくなるから止めるよ?」
ゆっくり離される唇。

「ヤダ、止めちゃヤ」
止めて欲しくなくて浴槽内で抱き付き、唇を奪った。

ハァ、小さく溜め息を吐き出すと
「後で後悔しても知らないから」
阿波路は俺を浴槽から出し、立たせて、シャワーのヘッドを外した。

「阿波路?」
それからの阿波路の行動は予想外で、俺は沢山騒いだ。
何故あの時阿波路の言葉をスルーしたんだろう。

嗚呼、後悔しても全て…………………………後の祭り。

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