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『ガラクタ』
バカキュア
どうやら定着してしまったらしいコアラって呼び方。

全然紅菓と一致してないんですが?まちゅ。

まっ、可愛いから良いか。

「で、まちゅは一体何者?ぬいぐるみ?それともソレは仮の姿か何かか?」
普通、ぬいぐるみが動いたり喋ったりしたら可笑しいよな?

最初夢かと思ったが、親父にもまちゅ見えてたし、今きちんと目ぇ覚めてるし、コレは現実だ。

「俺はスウィート王国から、悪の帝王ガラムマサラを倒すべく、人間界に戦士を探しに来たんだ」

ん?
なんか今、まちゅ普通の口調じゃなかったか?

「まちゅ?」

「ん〜?どぉしたっちゅぅ〜?」

やっぱ気のせいか。

「えっと、戦士って、何人必要なんだ?」

「ん〜っちょ、とりあえぢゅ4にんはひつようでちゅ」
ふむふむ。
戦士は4人か。

「で、具体的に何をするんだ?」

「ガラムマサラをたおちて、ぱふぇおうじょをおこちてあげりゅの」

つまり、戦士を集めてガラムマサラを倒し、眠っている王女を起こせば良いって事だな。

なんか簡単そうだし、力になってやっか。

「まちゅ、俺、戦士になっても良いぞ?」

「ほ、ほんとでちゅかぁ?」
嬉しそうな声の後
「まっ、元々そのつもりだったしな」
なんかボソボソ聞こえたが、幻聴か?

何言ってるか聞き取れなかったし、気にしなくて良いよな?

「なら早速、残りのメンバーを集めて、グループ名を付けなきゃな。なんか良い案あるか?」

「んっと。・・・・・バカキュア」
はい?
今、何て仰いました?

「バカキュア。バカキュアがいいっちゅ」
なっ、なんだとぉ〜っつ!!!
バカって、バカって。
他にないのか?良い名前。

「まちゅ、流石にソレはちょっと」
無理だろ。
そんな名前で、メンバーが集まるワケがねぇ。

「けっていでちゅぅ〜」

「ちょっ、ちょっと待て。考え直せまちゅ。他にもっと良い案が、沢山ある筈だ」

「ふ、ふぇえええ〜ん。コアラはまちゅがきらいにゃんでちゅぅ〜」
ちょっ、なんでそうなる。

「なワケないだろ?」

「ならきまりでちゅ」

マジですか?
本気で嫌なんですが。

「バカキュア、がんばるでちゅぅ〜♪」

楽しそうに笑うまちゅを見て、引き受けるんじゃなかった。本気で後悔したが
「ああ、頑張ろうな」
後の祭り。

俺はバカキュアの一員になってしまった。


戦隊物といえば、赤青黄色の様に、色が付くのが多い。
俺が赤だから、後は3色。
う〜ん。
黄色と青と緑で良っかぁ。

名前に色が付く人。
う〜ん?

まっ、考えんの面倒だし、散歩でもして気晴らしすっか。

まちゅを肩に乗せ、家を出た。

って、俺ぬいぐるみ持参の痛い奴って思われねぇかな?
なんかソレ、マジ凹む。


人混みを避け、河原の近くに来た時だった。

「ガラムマサラ」

まちゅが呟いた。


遠方に見えるは、モデル並みのスタイルの男。

まさか、アレがガラムマサラなのか?

「コアラ、バカキュアにへんしんするでちゅ」
おい、変身って、どうやってするんだ?
こういう時の決めポーズ、台詞って、何だ?
衣装は?

色々考えているうちに、近く迄来てしまったガラムマサラらしき人影。

「ぇえっと、えっとぉ。つ、つぅ〜きに代わってお〜しおきよぉ〜?」

「・・・・・・古っ」


滑った。

俺、今、ガチで恥ずかしい。

「コアラ、へんちんしてたたかうっちゅ」
おぅっ!

・・・・・?
って、どうやって?

「あっ、あの、まちゅ。衣装は?あと、なんか道具とか、決め台詞とか、戦士名とか、そんなんないの?」

多分コレがアニメかなんかの世界だったら、自然と口から決め台詞と戦士名が出て来たり、変身出来たりするんだが。
コレ現実だし。

「ぇっ?にゃい」
はっ?

「そんなのあるワケないだろ?流石バカキュア。救いようのないバカ」
・・・・・・・・ん?

「まちゅ?」

「どうちまちたか?」
いや、気のせいか?
なんか、以前聞いたスッゲェドスの利いた低いヤクザ声が耳に届いたんだが。

「コアラ?」
今聞こえるのは可愛いアニメ声。

んんん?

あっ、そうか。
さっきのはガラムマサラだ。
・・・多分・・。

チラリ、ガラムマサラを視界に入れ、今のお前?ってな感じで見つめる。

ブンブンブンッ。
首がもげそうな位、左右に振られた顔。
んな全力で否定しなくても。

ていうか、美形が台無しだぞ?ガラムマサラ。

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