『ガラクタ』
コアラ(マシュマロ視点)
トコトコ歩いていると、ワンワンワンッ、ニャー、チュンチュンッ、初めて聞く音が沢山聞こえた。
人型は、王国も人間界も殆ど同じ。
だが、動物は全く形が違う。
コレは少し調べる必要があるな。
何も知らない所で、少しの間とはいえ、生きていくんだ。
ある程度の知識が無ければ、戦士なんて見つけられない。
ていうか、何も知らない世界に俺一人。
言葉は通じるのか?
食べ物は身体に合うのか?
ああ、もう、不安だらけだ。
取り敢えず、何か調べるか。
王様の話によると、人間はTVや本、PC等で色々な知識を得るらしい。
で、ソレが全部集まっているのがネットカフェというお店で。
飲み物もあり、場所によってはシャワーも完備されているらしい。
で、寝泊まりも出来たり。って、ちょっと待て。
王様やけに詳しくないか?
そんなに知ってんなら、王様が来れば良かったんじゃね?人間界。
・・・・・まっ、仕方ないか。
決定しちゃったんだし。
でも問題が一つ。
俺は王様達と違い、人型ではない。
ふわふわもこもこもふもふなぬいぐるみ。
なんか自分で言ってて悲しいな。
スウィート王国やスパイス王国で人型になるには、偉くならなければならない。
王族、政治家、何かを成し遂げた者、王族の方々が認めた者のみ。
って事は、俺も戦士見付けてガラムマサラ倒したら、人型になれるんじゃね?
いや、絶対なれるね。
俺が人型になったら、絶対格好良いに決まってる。
格好良い大人の男に憧れる俺にとって、一生可愛いぬいぐるみの姿は耐えられない。
頑張れば人型。頑張らなければ一生このまま。
なら、頑張るしかないでしょ。
じゃなくて、今はどうやってネットカフェに潜入するか、だ。
王様に聞いた通りに、お店を探す。
おっ、アレじゃね?
中に入ろうとしている女の子の鞄にコッソリ入る。
で、店内に足を踏み入れると、ゆっくりバレない様鞄から降りた。
TVやPCの使い方は分からない。
なので、ぶらぶら見ている人達を観察する事にした。
へぇ〜。ほぉ〜。ふぅ〜ん?
どうやら、言葉は同じらしい。
流れてる声が分かるからだ。
でも、文字は読めない。
情報収集は、TVとPCに決定だな。
本は読めそうにないし、さ?
おっ?おおー!!!
一人部屋っぽくなってるスペースにて、変な人間発見。
黒縁眼鏡を掛け、ハァハァ息を乱しながら、PCをガン見している。
「ハ○ィ、カワユス」
猫?
「この口調が萌えなんだよなぁ」
ウットリ呟く怪しげな人間。
ふむふむ。
人間にバレない様、何話か一緒に観てみたが、その猫は語尾に不思議なのを付ける。
その人間は、それ以外のアニメも観ていたが、全部同じ様なヤツだった。
全てにおいて共通するのは、変身する戦士。
語尾に何かを付けるぬいぐるみ。
ほぉ〜。
何故王様が自ら戦士探しをせず、俺が行かされたか、今、少し理解した気がする。
つまり、俺は、戦士達を癒す、マスコットキャラ的存在ってヤツか。
なら、俺も語尾に何か付けねばならないのか?
って、んな恥ずかしい事出来るかぁっつ!!
そう思っていたのに、それは簡単に覆される事となる。
赤峰紅菓。
コアラとの出逢いによって。
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