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『ガラクタ』
マシュマロ(マシュマロ視点)
俺の名前はマシュマロ。
産まれた時、真っ白なふわふわなマシュマロみたいだったから、そう名付けられた。

って、ネーミングセンス無さ過ぎだろ?こら。

格好良い大人の男になりたいのに、どんなに足掻いても、最強可愛いぬいぐるみ。

まぁ、俺の種族は皆同じ様な姿形をしているから仕方ないか。


スウィート王国。
雲も水も家も木も、何もかも全て、お菓子で出来ている世界。
俺は、此処で産まれた。

この国はパフェ王女によって創られ、護られている。
王様も居るが、発言権が弱く、唯のお飾りになっている。

誰にでも優しくて、皆の母親的存在だった王女。
皆、王女が大好きで、王女中心に国は動いていた。

所がある日、王女が深い眠りに就いた。
理由は、激辛のカレーを食べてしまったかららしい。

は?そんな理由で?って、思うかもしれない。
が、王女にとっては、命に関わる位大変な事なのだ。

極度の偏食な王女。
甘い物しか食べれない。
辛い物なんて、もってのほか。
見るだけで気分が悪くなるし、一口も受け付けれない。

そんな王女が間違って激辛カレーを口にした。 

王女が頼んだのは、最強甘口のお子様カレー。
どうやら、隣の席に座った人のカレーを間違って口にしたらしい。

いやいやいや、激辛と甘口じゃ、間違えようもないでしょ?普通。
色も香りも全然違うし。

なのに間違えた王女。

隣に居たのは、隣国のガラムマサラ。
スパイス王国の帝王だ。

スパイス王国とスウィート王国は味覚の違いからか、仲が悪く、常に対立している。

なら、なんでワザワザ同じ店で隣に座ってんだよ?

まっ、取り敢えず、席の事は置いといて。

誤って激辛カレーを口にした王女。
初めて食べる味に拒絶反応を示し、パタリ。倒れてしまった。

スウィート王国の人々は、王女が自ら激辛カレーを口にする筈がない。絶対ガラムマサラが無理矢理食べさせたんだ。
勝手に決めつけ、打倒ガラムマサラ。と、闘志を燃やした。

で、ガラムマサラを倒す為、何故か人間界に遊びに行ったガラムマサラを追い、討伐する話が上がった。

が、平和な世界で育ったスウィート王国の人々は、戦う事が出来ない。
その為、ガラムマサラが今居る、人間界で戦士を探そう、という決断が下された。

人間界。
そこはスウィート王国の人々にとって、未知の世界。
行った事もなければ、見た事もない。

臆病者が多い国民は、誰も人間界に行きたがらなかった。

で、結局じゃんけん。

国民全員での、じゃんけん大会が開催された。

「じゃぁ〜んけ〜ん、ぽんっ」
「よっしゃぁ〜!勝ったぁ〜!!!」
一発で勝った俺。
これで行かなくて良いだろう。
俺強っ!最強。格好良い!!

喜びに浸っていたのに
「おめでとう、マシュマロ。君が人間界に行く勇者だ」
王様に告げられた。

はぁあ???
ちょっ、普通、負けた人が行くもんでしょ?こういうの。
皆行きたくなかったんだからさ?

「頼むよ、マシュマロ」
「お前だけが頼りだ」
「マシュマロ格好良い」
「ありがとうマシュマロ」

行きたくない。そう断ろうとしたのに、物凄い期待を沢山向けられ
「・・・・・行ってきます」
断るに断れなくなってしまった。

皆の馬鹿やろう。
お前等もカレー食べて寝込め、マジで。

心の中で愚痴りながら、俺は人間界に足を踏み入れた。




へぇ〜。此処が人間界か。
スウィート王国と全然違うな。

スウィート王国やスパイス王国の国民は、皆動物や食べ物の形をしている者が多い。
人型をしているのは、一部の偉い人達のみで、少数しか居ない。

比べて、人間界は人型しか居ない。
動物も居るには居るが、どうやら、普通に生活をしているのは人型のみ。

全く違う世界。

こんな所で戦士を探すなんて、無理じゃね?

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