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『ガラクタ』
まちゅ
ふぅ〜。溜め息と共に座るベッド。
最強ふわふわで気持ち良い。

先程Getした可愛いぬいぐるみを抱き枕に、布団に入る。

おやすみなさい。
目を閉じた瞬間、ペチンッ。何かが頬に当たった。

ん?何だ?
まっ、眠いし、どうでも良いやぁ〜。おやすみぃ。

そのまま眠りの世界に旅立とうとしてたのに
「おい、こら。起きんかボケ」
スッゴイ低くて、怖い声が耳に入った。
なんか殺気迄感じるのは、気のせいか?

ん?
ゆっくり目を開けると
「可愛い」
ぬいぐるみのドアップ。

んんんんん?
さっきの声、まさかコレから?
って、まさかなぁ?

夢見てんかな?俺。
さっさと寝よ。

再び目を閉じると
「いい加減にせぇや。人が話し掛けてんのに無視すんな。スルーとか、お前何様?王様かなんかかぁ?こら。次無視したら殺すぞ?」
やっぱり聞こえたヤクザ並の怖い声。

何だ?
コレどっから聞こえてんだ?
このぬいぐるみからだったら、マジ泣くぞ?俺。

恐る恐る開ける目。
「あっ、可愛い」
このぬいぐるみ最強可愛いなぁ。癒される。

ぷに、ぷに、軽くつつく。
「何すんだ?この人攫い」

ん?空耳か?
なんかこのぬいぐるみから聞こえた気がするんだが?

じぃいいいいいい〜。
見てみるが、やっぱり唯のぬいぐるみ。
何処もおかしな点なんかない。

って、そういえば、さっきチワワと一緒に走ってた様な?

う〜ん?見間違い?

俺疲れてんのかな?

よしよし。ぬいぐるみを優しく撫で
「可愛いなぁ、お前」
笑いかけると
「ふひゃぁああああああ。かわいいでちゅ」
目の前のぬいぐるみが喋った。

・・・・・・・・・。

俺、壊れた?


「はじめまちて。まちゅっていいまちゅ。これからよろちくでちゅ」
耳に入るアニメ声。

これは夢か?
夢なのかぁ?

「あにゃたのおにゃまえはなんでしゅか?」
え?これ笑うとこ?
全然言えてないんですが?

多分、名前を聞いてきたんだろうぬいぐるみ。

「赤峰紅菓」
取り敢えず名乗ってみた。

「コーラ?」
・・・・・おい。

「紅菓だ」

「コアラ?」
バカにしてんのか?コイツ。

「紅菓」

「こぉ〜ら」

「紅菓」

「コーラ」

「紅菓」

「コアラ」

・・・・・・・もぉ、好きにして下さい。

ガックリ肩を落とした俺は
「で、お前まちゅって名前なのか?」
気を取り直す為、ぬいぐるみに声をかけた。

ああ、ぬいぐるみに本気で話し掛けるなんて。俺、色々な意味で人生終わってんな。

「ちあうよ。まちゅはまちゅにゃの」
はい。何て言ったかもう一回言い直そうか?

違うよ。まちゅはまちゅじゃないの、か?

なら、何て名前なんだ?

「名前言ってごらん?」
口調が優しくなってしまうのは仕方のない事。
俺、可愛いのスッゲェ好きだから。

「まちゅ」

う〜ん?
やっぱまちゅって聞こえるなぁ。
でも、まちゅじゃないんだろ?名前。

「字ぃ書ける?」
フルフル左右に動く身体。
あっ、首じゃないんだ、動くの。

言葉もマトモに話せないんだ。
字なんて書けるワケないか。

「なら、この部屋に、まちゅと同じ名前ある?」
って、あるのお菓子や可愛い雑貨だらけだが。

くるり、何回か回ったぬいぐるみ。

トコトコある場所に歩き、止まった。

あっ、動けるのか。

「こぇ。こぇ、まちゅのにゃまえといっちょ」
んっと。
これ。これ、まちゅの名前と一緒、って言ってんのかな?

って、マシュマロ?

まちゅって、マシュマロなのかぁ?

「マシュマロ?」
小首を傾げながら尋ねると
「あい♪」
返された可愛い返事。

うきゃぁあああああああ〜。ヤバい、キャラ崩壊。
俺、萌え死にしそぉ。
キュンキュンしまくり。

可愛過ぎだろ?このぬいぐるみ。
じゃなくて、マシュマロか。

って、もぉ、まちゅで良くね?
まちゅ響き可愛いし。

「これから宜しくな?まちゅ」
無意識に零れ落ちる満面の笑み。

「よろちくおねがいしまちゅコアラ」
ああ、宜しくな、まちゅ。

って、コアラなのか?俺の名前。

「あの、まちゅ?紅菓。俺の名前は紅菓なの。コアラじゃないぞ?」

「コ・ア・ラ」
えへん。俺、頑張ったぞ。
頑張ってきちんと正しく言えたぞ?みたいな感じに、自信満々に発せられた単語。

言えてません。

「コアラ♪」
嬉しそうなアニメ声。

なんか怒る気が無くなってきてしまった。

「コアラ」
可愛く呼ばれ
「ん?」
なでなで頭部を撫でながら聞き返す。

まっ、名前を正しく呼ばせるのは今度で良いかぁ。

きゅっ。まちゅを抱き寄せ、ごろん。ベッドに寝ころんだ。

ほんっと俺、可愛いのに弱いなぁ。

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あきゅろす。
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