『ガラクタ』 日常(翔SIDE) 学校での李久は、普段の李久ではない。 必要最小限しか言葉を発しないし、表情も変えない。 話すのも、笑顔になるのも、全て、俺の前でだけ。 物凄く綺麗な顔をしている為、寡黙な王子様と、女子に憧れの目を向けられているが、本人は自分の容姿に自覚がない。 というか、興味がない。 李久の興味は全て、俺だけに向けられているからだ。 四六時中、俺の事だけ。 そうし向けたのは俺。 だって、当たり前だろ? 俺は李久の物で、李久は俺の物。 互いに必要なのは互いだけ。 それ以外は必要ない。 邪魔なだけだ。 逢って間もない頃、李久には仲の良い友達が沢山居た。 幼稚園で仲良くなった人達。 俺以外に笑いかける李久を見て、親しげに李久に触れたり近付く人達を見て、殺意が芽生えた。 李久が見て良いのは俺だけ。 その可愛い声も、顔も、全て、俺だけの物。 どす黒い感情に呑み込まれる。 こんな自分知らない。 初めて知った独占欲と、醜い感情。 李久に逢って、俺は異常な位変わってしまった。 李久を知り、狂ってしまった俺。 李久がトイレに行く為教室を出た瞬間、俺は李久の友人達を睨み付けた。 「李久に近付くと、殺すよ?」 自分に出来る最上級の笑顔で微笑むと 「・・・・・・・・・・・っつ」 青くなった人達。 「今日から、李久は俺だけの李久だから」 笑いながら 「もう、二度と、近付かないでね?」 牽制していると 「どうしたの?」 戻ってきた李久。 「なんでもないよ」 李久に触れながら 「今言ったの、本気だから」 周囲に告げた。 この日から、李久には俺しか近寄らなくなった。 周囲の急変に戸惑う李久も、可愛くて、愛おしい。 必然的に、李久は俺としか喋らず、俺の側にのみ居る様になった。 同時に、必要最小限以外、触れるのも、話すのも、笑いかけるのも、全て俺だけと約束させた。 その為、李久は俺の前でのみ笑い、話す。 約束だよ?李久。 俺以外に心を許さないで? [*前へ] [戻る] |