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※設定としては、原作が全部終わった後の話か、現代パロディ設定です。
苦手な方はブラウザバックでお戻り下さい。
大丈夫という方のみどうぞ!
























どこからともなく美味しそうな朝食の香りが漂ってきたのとテイトが眠りから目を覚ましたのはほぼ同時だった。


「ん‥‥、」


開けられたカーテンからは眩しい朝の太陽の光が直接目に入って、テイトは眩しそうに唸るとゴロンと目を閉じたまま寝転がる。


窓は開け放たれているらしく、さらさらと朝独特の涼しい風が入って寝起きの頬を撫でて少し心地良い。


まだ寝ようかと思ったけれど、不意に隣り合わせにいるはずの人物の気配がない事に気付いたテイトは眠気が残る重たい瞼をゆっくり上げる。


「‥‥‥、」


名前を呼ぼうとしたけれど、朝起きたばかりか声が掠れて出ない。


そっと手を伸ばせばまだ温もりはシーツに残っていて、相手は少し前に起きていた事が分かる。


そんな些細な事に安心して、ふぁ、とテイトは大きなあくびを一つして布団にくるまった。


休日の朝の、こののんびりした空気が好きだ。


うっすら目を開けてベッド脇に置かれたナイトテーブルの上のデジタル時計を見れば、今は朝の10時半過ぎだった。


この家は少し離れた所に大通りがあるせいか、開け放たれた窓からは、遠くで車が行き交う道路の音が聞こえてくる。


(そろそろ起きるか、)


ベッドの中で軽く背伸びをしてテイトが起き上がろうとした時と、寝室の扉が開いたのはほぼ同時だった。


「いてっ」


「テイト、」


ガチャッと寝室のドアを開けて、まだ夢の中をさ迷っているだろうテイトを起こしに来たフラウはテイトが起きているのに気付いて起こそうと喉まで出かけた言葉を飲み込んだ。


テイトはフラウに気付いてドアの方へ顔を向ける。


「フラウ、」


「起きてたのか。飯出来たぜ」


来いよ、とフラウが言えば何故かテイトの頬が赤く染まった。


(‥‥‥?)


「‥‥‥行けない」


数秒の奇妙な沈黙の後、テイトが発したのはその一言だった。


フラウはそんなテイトに内心頭を捻る。


おかしい。


今朝のテイトは明らかにおかしい。


そういえば今思えば顔も赤い。


ひょっとしたら熱か?


そう思ってフラウはテイトのいるベッドにそっと近寄る。



「具合が悪いのか?」


「そ、そうじゃなくて‥‥」


「?」


フラウはぎしり、とベッドに腰掛けてベッドの上で座ったままテイトの額に手を当てる。

だけど、手の平から伝わるテイトの体温は熱くもなく平熱。


「食欲がねぇのか?」


「‥‥違う、‥‥けないんだ」


ふいとフラウから視線を外してテイトはボソッと恥ずかしそうに言うけれど、フラウは聞こえずに「何だって?」と聞き返す。


そんなフラウに痺れを切らしたのか、テイトは「〜〜っ、」と真っ赤な顔でキッとフラウを上目遣いに睨みつけるとやがて決心したように口を開いた。


「‥‥だから、歩けないんだよっ」


時が止まったように固まる二人。


「‥‥‥‥」


「‥‥‥‥」


沈黙を破ったのは、フラウの押し殺したような低い笑い声だった。


「な、」


慌ててテイトが伏せていた顔を上げれば、そこには肩を揺らして必死に笑いを押し殺しているフラウがいた。


クツクツと低く笑うフラウはそれはもう楽しそうに可笑しそうに笑っていて、テイトの顔はますます熱を帯びていった。


「なっ何笑ってんだよ!」


そう怒ってテイトが言えばフラウは込み上げてくる笑いを抑えながらテイトを見遣る。


「だってお前、ヤり過ぎで‥‥」


「うわぁっ言うな!!」


バフッとテイトが投げた枕は見事にフラウの顔にクリーンヒット。


「‥‥‥」


「‥‥‥」


ポンとベッドの上に落ちた枕にテイトはヒクリと顔を引き攣らせる。


恐る恐るフラウを見れば、そこには口の端を上げて嫌な笑いを口元に浮かべるフラウがいて。


「‥‥やったな?」


ニヤリと思いきりドSな笑みで笑うフラウにテイトはヒッと息を呑む。


ばふっ


フラウは起きかけていたテイトをベッドに少し強引に押し倒して意地悪に笑いながらその上に覆いかぶさる。


いとも簡単に組み敷かれたテイトは真っ赤な顔で自分の真上にいるフラウを出来るだけ反抗的に見上げて抵抗をするけれど、それが逆にフラウを煽ることなどテイトが知るはずもなく。


「腰が痛いんだよな?」


微かに微笑んでそう聞くフラウにテイトは何か嫌な感じを覚えながらおずおずと言う。


「そう、だけど‥‥」


そう言ったテイトにフラウはニヤリと笑って一言。


「どうせなら歩けなくしてやるよ」


「っ!ななななな何言ってんだよバカフラウ!あああ歩けなく、なんてっ」


恥ずかしいのかリンゴのように真っ赤になってどもるテイトにフラウは余裕げに微笑んでテイトのおでこにちゅ、と口づける。


「飯はベッドまで持って来てやるから問題ねぇだろ?」


低く囁きながら耳を甘噛みされて身体中を甘い感覚が襲い、テイトは思わず目を瞑ってシーツをギュッと握りしめる。


フラウはそんなテイトの細い顎に優しく指を這わせる。


そうすればテイトもそっとエメラルドグリーンの瞳を覗かせて。


「フラウのばか」


拗ねたように顔を真っ赤にして可愛らしい悪態をつくテイトにフラウも優しく笑うと、テイトの顎に手を添えてその唇に口づけて、テイトはそんなフラウの顔を愛おしげに両手で包んだ。




I Like It
(意地悪に笑うその笑顔が実はダイスキなんだ)




***
fin
らぶらぶなフラテイが書きたくて書いてしまいました。
ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。
20090805


あきゅろす。
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