. 「大人の事情」の続編で、フラテイで現代パロです。 今回はしっかりフラテイです(笑) 大丈夫!というお方のみどうぞ! 天を仰げば澄みきった青空が目に優しい、穏やかなとある休日。 休日だから平日よりも人混みが激しく賑わっている街のメイン通りをフラウとテイトは歩いていた。 フラウの少し後ろをはぐれないように一生懸命付いてくるテイトは何とも可愛らしいけれど、ちょっと危なかっかしくて、フラウは何度も後ろを振り返っては振り返って。 「お前歩くの早過ぎなんだよっ」 後ろから抗議の声が聞こえてフラウは少し立ち止まって横顔だけ向ける。 「仕方ねぇだろ、この人込みなんだし。手繋ぐか?」 そしたらはぐれねぇし、と言えばテイトの顔は見る見るうちに真っ赤になっていく。 「っ、大丈夫だ!」 そう言って自分を追い越してさっさと歩き出したテイトの後ろ姿にフラウは苦笑した。 (手繋ぐって言っただけで照れるなんて可愛いじゃねぇか) ちょっと残念には思ったけれど、こういうのもいいかもな、とフラウは思って微かに微笑む。 今日は久々に二人で過ごす休日。 「おい、テイト、」 昼飯でも食いに行こうぜ、と声を掛けようとした時、目の前のテイトが立ち止まっているのに気付いたフラウは何事かとテイトに歩み寄る。 「?」 どうやらテイトは何かを一心に見ているらしく、フラウはテイトの視線を辿った。 「あ」 テイトが見ていたのは、宝石店のショーウインドーだった。 ショーウインドーの中はアクセサリーやイヤリング、ブレスレットがたくさんあって綺麗にキラキラと輝いている。 「あ、フラウ。キレイだなこれ」 フラウに気付いたテイトはそう言って、幼い子供のように目を輝かせてショーウインドーに魅入っていて、フラウはふっと微笑む。 「そうだな」 「あ、あれが1番キレイ」 「どれだよ?」 「あれあれ。あのアクセサリー」 テイトが指差した先には、シルバーのシンプルなネックレスがあった。 ふーん、とフラウはサファイアの瞳を細める。 「お前に似合いそうだな」 そうフラウが言えば、テイトは笑いながら「そうか?」とはにかむ。 「テイト、ちょっと待っとけ」 「え?ちょっとフラウ!どこ行くんだよ!」 「いいから。ちゃんとここにいろよ?」 抗議の声を上げる前にフラウがいきなりさっさと店の中に入ってしまうから、訳が分からないテイトはただショーウインドーの前に立ち尽くすしかなく。 (ったく、何なんだよ) そのままフラウを待つこと5分。 店から出て来たフラウはテイトに小さな箱を渡した。 「ほら。やる」 「は?」 言葉少なにそう告げたフラウに分からず首を傾げると、「開けてみろ」とフラウに言われてテイトはおずおずと箱を開けた。 「‥‥‥あ」 そこにはさっきテイトがキレイだと言ったシンプルなデザインのシルバーアクセサリーがあって。 思いもかけなかったフラウからのプレゼントにテイトは目を丸くしてフラウを見上げた。 「ふ、フラウ‥‥‥これ、」 すごく胸の奥がじんと熱い。 あまりの嬉しさに言葉を詰まらせるテイトにフラウは微笑んだ。 「お前にやる」 「で、でもっ」 高かっただろ?と申し訳なさそうにするテイトにフラウは「ばーか」と笑ってテイトの頭をくしゃくしゃと撫でて。 「俺が勝手にお前に買いたかったんだから気にすんな。お前が付けてくれるだけで俺は満足なんだよ」 そう言って笑うフラウがとても愛おしくて幸せで思わずテイトは微笑む。 「フラウ、付けて?」 「おう」 生まれて初めての好きな人からのプレゼント。 さらり、と肌に触れる冷たい金属にくすぐったくてでも胸は不思議と温かい。 「へぇ、けっこう似合うじゃねぇか」 「フラウ、ありがとう」 精一杯の感謝の気持ちを口にすればフラウは優しく笑う。 生まれて初めて好きな奴から貰ったものなんだ、そう言ってテイトは大切そうにアクセサリーに手をそっと触れる。 「それ、お前は俺のものっていう証なんだぜ?」 「なっ」 「だからちゃんと付けろよ?」 「っ、‥‥毎日付けるっ」 俺はフラウのものっていう証、か。 何だかくすぐったいけど温かくて幸せだ。 テイトは首元に手を当てて小さく微笑む。 「そりゃ嬉しいが、風呂入る時は外せよ」 「んなこと分かってるよっ」 そんなテイトにフラウはふっと笑う。 じゃあ昼飯食いに行こうぜ、と歩き出すフラウの手をテイトはそっと握ると、フラウは一瞬驚いてテイトを振り返るけれど、すぐに滅多に見せない優しい笑みを浮かべてテイトの手をそっと握り返した。 君の証 (お前は俺のものっていう証。そう言われた時、とっても胸が熱くなって満たされて。すごくあったかかった) *** fin 20090419 |