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穏やかな午後のこと。
「貴方が考え事なんて珍しいですね」
フラウ、と自身の名前を聞き慣れた同僚の声に呼ばれて、フラウはふいと視線だけ動かした。
切れ長の済んだサファイアの瞳が太陽の光を受けてきらりと瞬間光る。
そのサファイアの瞳に映ったのはよく知った同僚の姿だった。
「‥‥カストルか。んだよ、俺が考え事してたらいけねぇのかよ」
けだるそうな、少し苛立ちを滲ませたフラウの声にカストルはふわりと笑う。
「いえ。ただ何を考えているのか気になっただけです」
ふん、とフラウはカストルから視線を外すと、加えていた煙草を口から離して白い煙をゆっくり吐き出す。
開け放たれた窓から入る風が、窓際に行儀悪く座るフラウの金髪をさらさらと揺らした。
そんなフラウにカストルはややあって口を開く。
「何を考えてたんですか?」
「別に何も」
「あのコの事ですね」
「‥‥‥‥‥」
刹那、珍しく黙り込むフラウにカストルは呆れたようにため息をついた。
「だから言ったでしょう、あまり深く入れ込まな‥‥‥」
「アイツの事じゃねぇよ」
不意に、フラウはカストルの言葉を遮る。
「‥‥‥‥」
「テイトの事じゃねぇ」
カストルに背を向けているフラウは、今どんな表情をしているのかカストルには見えなかったけれど、何となく分かる気がした。
「‥‥‥貴方がそう言うならそういう事にしときますよ」
でも嘘は良くないですよ、と小さく呟くカストルの声が聞こえてフラウが振り返ると、もうそこに同僚の姿はなかった。
「‥‥‥‥」
はぁ、と疲れたように息をついたフラウはまた視線を青空に戻す。
何の汚れもない、真っ青な澄みきった青空。
ふと視線を地上へ向ければ、教会の子供たちと戯れる見馴れた黒髪の少年が瞳に映って、フラウはそれを遮るかのように煙草を吸いながらゆっくりと瞳を閉じた。
ふと気付けば
(無意識にアイツを目で追ってる自分がいて。そんな自分が嫌になって、俺はそれを振り切るようにまた新しい煙草に火を付ける)
***
fin
初・フラテイです。ひぇーって感じです。フラテイなのにテイトが出てない‥‥。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
20090331
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