. 「はいソウル」 帰り際の放課後の廊下。 ふいに名前を呼ばれて振り返れば、マカが満面の笑顔で俺に可愛くピンクのリボンでラッピングされた小さな包みを差し出していた。 そう、今日はバレンタインデー。 年に一度の特別な日。 普通はここで嬉しそうに受け取るだろう。 だけど俺は浮かない顔で「あぁ、サンキュ」と礼を言ってマカからチョコを受け取った。 そんな俺を見て当然マカは顔をしかめる。 「どうかしたのソウル。全然嬉しくなさそうじゃん」 そりゃ本命から貰えたんだから嬉しい。 嬉しい、けど。 「これ、キッドとブラック☆スター達と同じヤツじゃねぇか」 ガキみたいだけど、俺はマカと付き合ってるから、みんなとは違うのをくれるだろうって期待してた。 何でもいい、ちょっと大きかったり包みの色が違ってたり。 そんな些細なことで、マカにとって俺は他のヤツらとは違う存在なんだってことが再確認できると思った。 でも渡されたのはキッド達に渡したのと同じチョコ。 単純だけど、なんだマカにとって俺はその程度の存在なんだって思ったんだ。 「そうだよ」 何か文句ある?と言いたそうにマカは俺を見る。 あるよ。 なぁ、俺ってお前にとったらこの程度の存在なのか? 本当はそう言いたかったけど、何だかムシャクシャして「何でもねェ」と俺はマカに背を向けた。 [次へ#] |