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「‥‥‥‥眠れねぇ」



開け放たれた窓からは肌寒い風が容赦なく入ってくる、真冬の一歩手前の夜。



寒さのせいか、昼寝をしたせいか、なかなか寝付けないソウルは苛立ちの声を上げベッドから上体だけ起こした。




そしてベッド近くに置いてある時計を暗闇の中手探りで探し出す。



「‥‥‥まだ10時かよ」



そういえば、今日はいつもより早く自分の部屋に引き上げたよな、なんて思い出しながらふとリビングへと続くドアを見れば、微かに光が漏れていた。



(マカか?ブレアはまだ店にいるはずだし‥‥)



とりあえず何か飲まねぇと、なんて誰になく言いながらソウルはベッドから抜け出してドアを開けた。



カチャ



パタン



「あ」



「あ?‥‥マカじゃん」



まさに予想通り。



ドアを開けた時、ソウルは、リビングのソファに座っていたマカとばっちり目が合った。



ちらっと視線をずらせば、マカの手元には分厚い本。



多分マカも寝付けなくてリビングで本を読んでいたんだろう、いや絶対そうだ。



「何してんのマカ」



ソウルはあくびをかみ殺しながらキッチンへ足を向け冷蔵庫をパカッと開けながら問い掛ける。



「本読んでるの。何だか寝付けなくて。そう言うソウルこそどうしたの?」



「俺も一緒」



「ふーん」



コポコポとマグカップに牛乳を入れてそれを一気に飲み干すソウル。



マカはそれをぼーっと見ていたけれど、やがて興味がなくなったのか本へと視線を戻した。



パタンと閉まる冷蔵庫の蓋の音。



マカは眠たそうにあくびをする。



チャリン



そんなマカの目の前に現れたのは、見慣れたキー。



「?」



「ドライブ行くぜ」



マカの前には、バイクのキーを片手に立っているソウルがいた。



「い、今から?!」



「おう。軽くひとっ走りしたら眠れんだろ」



「まぁ確かに‥‥‥でも寒いし風邪引いたらどうするの」



「コート羽織っとけばいいだろ。それに2人っきりで夜のドライブなんてなかなかクールじゃね?」



クツクツと笑うソウル。



何故か"2人っきり"という言葉を意識してしまって妙に照れくさくなり、マカはちょっと頬を赤らめる。



「ほら、来いよ」



滅多に見せない優しい笑みを浮かべながら片手を差し伸べられ、しかも背筋がゾクゾクするくらい心地良い低音で"来いよ"なんて言われればマカが逆らえるはずもなく。



「っ、うん」



マカは照れ隠しで顔を伏せながらもしっかりとソウルの手をとって、2人は夜の帳へと飛び出して行った。






midnight
(醒めないで、君とのミッドナイトストーリー)



***
End
20081223


あきゅろす。
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