からかいのつもりで抱き着いたら蓮の野郎は腕の中にすっぽり収まってしまった。驚いたことが二つ。一つ目は思っていた以上に蓮がジャストサイズだったこと。二つ目は、これまた想像に反してまったく抵抗されなかったため、もう五分近くも抱き合ったままでいるということ。

普段の俺達はご存知のとおり犬猿の仲。仮にもチームメイトの癖に喧嘩は日常茶飯事で、お世辞にも仲が良いとは言えない(葉に「お前ら仲良いな」と言われることはあるが相手は葉だ例外論外!)
いつもの調子で「離さんかアホロホロ阿呆が伝染る!」なんて乱暴に振りほどかれてすぐいがみ合いに発展するものだと思っていた。それが、なんで今こんなことになっているのか。

軽いハグなら解る。俺だって感極まって同性の野郎に抱き着いたりはよくやっている。蓮を抱き締めたのも気持ち的にはその延長みたいなものでしかなかった。

ここまで聞いただけだと『ならすぐにでも腕を解けばいいじゃないか』と思われるかもしれない。俺だってそうしたい。この居心地の悪さは本気で耐えがたい。出来るものなら四分五十秒前にやっている。


蓮が俺の肩に顔を埋めて、背中に腕を回してこなければ。


離れるタイミングを完璧に失ってしまった。
体が動かない。
こいつはこうすることで何か呪いでもかけているのだろうか、俺が動けないのはそのせいなんじゃないか。ええと、俺なにかした?




あきゅろす。
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