始まりの瞬間(とき)/SK
光なんて必要なかった。
例え闇の中でしか生きられない命でも、
永劫に続く 終わりなき命でも、
お前さえいれば良かった。
幾筋かの光が注ぐ廃虚で、お前を見つけた。
お前は意識も朦朧としていて、もうダメなんだと瞬時に理解した。
もう助からない、散り際の命だった。
ショウが死ぬ…
理解した途端、俺には一つの策しか頭に無かった。
━━お前をヴァンパイアに。
だが、お前の首筋に唇を寄せた瞬間、声が聞こえた。
━それはお前の都合だ
(…どうして)
誰だ。
邪魔しないでくれ。
これしか方法がないんだ。
━俺は自分を呪ってる!他人を食い殺して、生きていかなきゃいけない自分をだ!
(それでもこいつはっ、ショウは生きられる!死なずにすむんだ!…俺はそれでいいッ!)
頭の中の声は絶え間なく響いて、俺の考えを鈍らせる。
俺はショウに生きてほしいだけなのに。
誰かが五月蝿く耳元で叫ぶんだ。
━化けモンだ!俺は化けモンなんだよッ!!!!
(…ああ、これは俺の声だ……)
ショウの血液が喉を通る音を聞きながら、ぼんやりとそう思った………
(俺って実は、かなり欲張りなんだ。知ってた?)
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