見ないふりしてただけなんだ。/GH
本当は知っていたんだ。
僕らは幸せになんてなれない。
君を幸せにしてあげたいのに。
君がまだ、こんなにも愛しくて
手放してやれない。
ごめんね。
「な、なんで…そんな事、言うん…?」
「ごめんね」
「…っ『ごめんね』ちゃうよ、何それ、急に、」
「急にじゃないよ。ずっと考えてた。」
「だって、がっちゃん、言うたやん!誰かを傷付けても、俺をッ、」
「うん。『誰か』なら、そんなの気にしないよ」
「ど、いう意味…?」
「ハイドが傷付いてるから」
「ッ!!」
「他の誰を犠牲にしても、ハイドを手放す気はなかったけど。君を傷付けてるから」
「俺は、どうもしてへんよ」
「奥さん、君が僕の部屋に何日か居る間、体調を崩したんだって?」
「!……いや、あれはただの、」
「君がいつも家に帰らないのを気に病んで」
「……」
「ごめんね。知ってたんだ」
「……」
「ハイドがずっと、あの人に責められてるの、知ってたよ。でも、ずっと、知らないふりしてた」
「ハイドを、失いたくなかった」
「が、ちゃ…ん」
「ごめんね」
(俺をこんなに傷付けられるのはがっちゃんだけやのに?)
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