秘密/GH
秘密。
それは、絶対に誰にも知られてはならないもの。
秘密があるという事ですら、秘密にしなければならない。
普段会話の中で遣われる“秘密”なんて、秘密ではない。
寧ろそんな“秘密”は、知ってくれ、気付いてくれ、と言っているようにしか聞こえない。
秘密とは、その存在自体が、秘密なのだ。
…例えば、俺のこの感情のように。
「ねえハイド、僕の所為にしていいから、ムリヤリだって言えばいいから、」
……心臓、鷲掴みにされてるみたいだ…っ。
「駄目だよ。俺の恋人は、がっちゃんじゃない」
残酷な事実を彼に確認させるよう示すと、青く澄んだ瞳が揺れた。
その碧眼が、俺の脆弱な意志を崩そうとする。
「やだよハイド。愛してるんだ。
“僕だけを見て”なんて我が儘言わないからっ」
(そうだよ。そんなの言わなくていい。)
わざわざ口にするまでもない。
もう、彼に気付かれているんじゃないだろうか。
俺の体の最奥から、早く出してくれと叫ぶこの激情を。
ソイツが、俺の心臓を食い破って這い出そうとしている。
愛しい男に縋り付く瞬間を待ちわびている。
「それでも俺は、がっちゃんを好きじゃないよ」
…きっとこれは、世界で一番、罪深い嘘だ。
この人を傷付ける言葉を吐くこの口を、誰か今すぐ塞いでくれ。
嘘を吐く事には慣れてる。
ここまで上り詰めれば、ツラの皮も厚くなる。
ただ、彼を傷付けた事が、こんなにも苦しい。
見つめられただけで息も出来なくなる程、こんなにも愛してるのに!
切欠なんて判らない。
きっと、息をするよりも自然な事だった。
…彼に惹かれたのは。
日本人離れした甘いマスク。
鍛え上げられた、それでいて美しい躰。
妥協を一切許さない、意志の強い瞳。
心を揺さぶる、低い声。
照れたようにほころぶ、笑顔。
何もかもが愛しくて、止められなかった。
彼の事しか考えられなくなるまで、時間はかからなかった。
―本当は、とっくにがっちゃんが好きだった。
駄目だ。
心が泣いている。
―彼が好きだと叫んでる。
…がっちゃん、ごめん……。
もう少し早く、あの人に出会うよりも早く、がっちゃんに出会いたかったよ。
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灰氏浮気(?)設定。
??×灰→←楽みたいな。
奥さんでも可。
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