birdcage side A
『お前が呼べば、いつだって───』
それは俺の本心だった。
キラ以上に大切なものなんて俺にはない。
キラが呼ぶなら、いつだって、どこだって駆け付ける。
『尽くしてる』訳じゃない。
『甘やかしてる』だけ。
キラが、俺なしでは生きていけなくなるように。
いつの頃からか、キラを友人として見れなくなっていた。
それでも変わる事なく寄せられる、キラの友情。
それがただ痛かった。
キラはいつだって、『みんなのキラ』で。
みんなに愛されて。
…俺だけを見たりはしない。
でも俺は気付いたんだ。
キラが俺の所まで堕ちて来ればいい。
俺がいないと生きていけない程に、俺に依存させればいい。
そうすれば、『みんなのキラ』は、『俺だけのキラ』になる。
以前、告白されている最中にキラからメールが来た事がある。
俺はもちろん、キラの元へ向かったが、キラはちっとも嬉しそうではなかった。
寧ろ、悲しそうで、今にも泣きだしそうで。
来てはいけなかったかと思ったくらいだ。
罪悪感だったのだろう。
そして不安になったのだろう。
俺の人生が、自分の手の中にあるということに。
「……キラ?」
突然の着信に驚きながら電話に出るが、キラからの返事はない。
不審に思っていた俺の耳に、呟くような小さな声が聞こえた。
「──…今すぐ、来て…?」
「ああ、すぐ行くよ。家にいるんだろう?」
俺は迷う事なく答える。
今は新入社員の歓迎会だが、別に俺がいなくても困らない筈だ。
俺からしてみれば、まとわりつく女の香水に、吐き気を覚えていたくらいだ。
「うん」
キラがまた、小さくそう告げる。
そして俺は確信したんだ。
──ああ、やっと俺の所まで堕ちてきた…
もうお前は俺のモノだよね…?
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