部誌提出作 白黒予想迷走探偵注意報C 「リリスは名探偵に必要な物を知っているかい?」 「えーっと…推理力、ですか?」 「まあそれも必要だけど、それは二の次。一番なのは運の悪さだよ」 そう俺が言うとリリスはきょとん、とした顔になった。 「え?運の…悪さ?」 「そう。いくら凄い頭脳をもっていても、いくら凄い事件を一回解決したとしても、それだけじゃ有名になれない。有名になったとしてもすぐに世間の中に埋もれる」 「そっか、小さな事件でも沢山解決すれば嫌でも有名になる。有名で居続ける為には事件を解決し続けなければならない。そして事件に遭遇するには運が悪くなくちゃいけないですね」 事件に遭遇するのは出来れば避けたいことですし、と続けてリリスは呟いていた。 「俺も運が悪いから、名探偵って呼ばれてるんだよ」 冗談のつもりだったが、思いのほか強い否定が返ってきた。 「裕さんは特別です!あれらは…うまく言えませんけど事件じゃないです。楽しんでますし。それに今回のは事件じゃありません。犯人が始めから分かっている事件は事件なんかじゃありません」 「うん…そうだね」 リリスはよく見ている。 「美人の私が言うんだから間違いないです」 「なんだそれ」 俺達は笑っていつもの様に帰路につく。 2008年作成 [*前へ][次へ#] |