悪戯書き集 夏練の話C 零一と藤夏が話している間、友恵と華はこんな話をしていた。 「いーちゃん、面白い本見つけたんだけど読む?」 「読むー。どんな本?」 「『愛玩王子』ってタイトルなんだけど」 「……」 いきなり黙り込む友恵に華は慌てて弁解する。 「別にアレな話じゃないからね!至って普通の話だよ!?」 「ああ…普段の零一の扱いからそういうのなんだとちょっと引いちゃったよ」 微妙な空気が二人の間に流れる。それを無くすように華が本を渡しながら言う。 「これ。愛玩ってのは主人公が小さくなるって意味だよ」 「へー、面白そうだねぇ〜」 友恵はとんでもない事を言い始めた。 「う〜ん、これじゃあ零一×華なんて考えられないよねぇ〜」 「……は?」 「でも、零一はヘタレで華は女王キャラだから逆に華×零一かもねぇ」 「…いーちゃんは何を言ってんの?」 友恵の突然のCP話に華はそう言うしか無かった。 「っていうか、どうしたらそんな話に飛ぶわけ!?いーちゃんの人生設計ではそういうのは今後キッパリ止める、深入りしないって言ってなかったっけ!?」 「それはそれ、これはこれ。他人の恋に口出ししたくなるって華も言ってたでしょー?」 友恵は天然に見えない天然さでへらっと笑った。 「な、何でオレがアイツに恋してる限定なんだよ!」 華がツンデレに見える。 「同じ部活で、もう一つの部活も同じで同じクラスじゃ疑われても仕方ないよぅ?いっつも一緒に居るしー」 友恵は見えない手で背中をぐいぐい押してくる。 「それなら、中学の頃からモンハンで一緒に居るいーちゃんはどうなんだ」 華も冷静さを取り戻そうと負けじと言い返す。 「確かに私もフラグ立ってるね〜」 友恵は華の言葉をゆるりとかわした。と同時に追撃もかける。 「そういえば華キャラ変わってるー。もしかして、照れてるっ?」 いーちゃんには勝てない。 そう思った華だった。 2008/09/21 [*前へ][次へ#] |