修練場 電波塔。(独) ゆらゆらちかちか ネオンはなんだかノスタルジー 今日はルートとご飯を食べて、お酒を飲んで、ふらふら家に帰る。 あ〜あ、もうすぐルートと別れてしまう。 繋がった手が、離れてしまう。 そんなことを考えていたら、繁華街を抜けて、大きな川の、静かな橋に差しかかっていた。 暗がりで、ルートの顔は見えないけれども、ルートも私と同じで、ちょっと寂しく思っているといいな、なんて思ったりして。 酔って真っ赤になったルートの耳。なんか、可愛いな。 「なまえ」 ルートが歩みを止めて、こちらに振り返る。 「なあに、ルート?」 「…なんでもない。」 「何?言ってごらんよ?」 きまり悪そうな態度。彼はこんなにももじもじしたことがあっただろうか? 「…キス、してもいいか?」 「うん。」 頬に触れるルートの手。まだ寒い春の夜に、冷えたルートの手。その感触を味わって、私は目を閉じる。 寒い春の夜に、温かな唇。 初めてのキスが、こんなにも素敵に思えたのは、目を閉じる寸前に見えた間近で見たルートの目の色と、電波塔の光がゆらゆらと、綺麗だったから。 「いちいち了承を取るルートのこと、じれったいけど好きだよ。」 私が笑って言うと、一段と頬を赤らめたルートも笑って、言った。 「そうか…俺も…愛してるぞ…」 その回りくどい言い回しだって、大好き。 ゆらゆら私たちは帰途につく。 今夜は、もう寂しくない。 学校から帰る時、橋から電波塔が3本見えるんです。綺麗です。 ルートってこんな感じでいいの? [*前へ][次へ#] |