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修練場
kiss of the sun(西)
「きゃっ…虫…!」
「なんやなまえ、虫苦手なん?」

アントーニョは私の目の前のトマトの葉から緑の小さな芋虫をつまみ取って放り投げた。

「無理して手伝わんでもええんやで?」
「ごめん…なさい…でも私、アントーニョのお手伝いがっ!きゃっ…」

また、虫。

「気持ちだけでもありがたいんよ。今日はもうすぐ終わるから先家入っててええよ〜」

ひょいとつまみ取るアントーニョ。

「ごめんなさい…」

アントーニョは笑っていたけれど、自分が邪魔なのは分かっていた。放り投げられた芋虫みたい、私。

とぼとぼ家へ向かって、ぽたぽた涙が跡を残す。
ばたんとドアを閉めたら、しんとした、大きな家だから、音が響いて、本格的に涙があふれてきた。

「ごめん…なさい…ごめん…アントーニョ…アントーニョ…」

こんなんじゃ、ここには嫁に来られない。いっつも「愛してるで〜」と言ってくれたアントーニョはこんな私をどう思うんだろう?虫嫌い、ずっと隠してたのに。やっと克服できたから、収穫手伝おうと思ったのに…全然だめじゃん。虫嫌いが農家に嫁ぐなんて…

ぎぃ…
ドアが開く。

「なまえ!?うづくまってどないしたん?…泣いとるん?」

籠いっぱいのトマトを担いだアントーニョが吃驚して声をかける。

「アントー…ニョ…」

籠を置いた彼が包み込むように頭を撫で、自然と目を合わせてしまう。

「どないしたん?ゆうてみ?」
「…あ、アントーニョ、私…虫がっ…どうしてもダメで…こんなんじゃっアントーニョのっ…お嫁さんにはっ…なれないから…」
「なまえ、そんなこと…」

フッと笑って、アントーニョは両手で私の顔を包んだ。

「なまえはそんなこと考えてたんか?相変わらず単純さんやな〜」
「へ?」
「俺のこのどろんこのシャツ洗うたり、この収穫したトマト箱に詰めたり料理したり、内職したり、嫁さんの仕事はたくさんあるんやで?畑仕事くらい出来んからってなんで嫁さんなれんことがあるん?」
「でも…」
「こうやって帰るとなまえが居てくれるだけでも十分やで!」

ぎゅっと抱きしめられた。アントーニョは太陽と土の匂いがした。

「なまえ、ほんまに結婚しようや。」

嬉しくて嬉しくて、涙で言葉が上手く紡げない。

「…アン、トー…ニョ、ありがと…」

太陽の口づけ。
ありがとう、人一倍輝く、私の旦那様…。








太陽の、口づけ。




すみません。一応最初は胡蝶さんに送りつけたものをupしてみました。だんな様ってお前は女中かっていう…精進します。

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あきゅろす。
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