特別科生徒の憂鬱 04 紅葉(モミジ)は早速海に向かって走り出す。 紅葉(モミジ)「うにゃっ!?」 その紅葉(モミジ)の腕を掴み、平がため息混じりに言った。 平「準備体操。しとかないと足吊るぞ」 紅葉(モミジ)「はぁーい」 平「まったく…俺はお前の父親か」 紅葉(モミジ)「むしろお母ちゃん?」 平「お母ちゃん…」 少し沈む平には気付かず、紅葉(モミジ)は体を伸ばして、言った。 紅葉(モミジ)「よしっ!行こ!へー!」 平「俺はへーじゃな…って引っ張るな!」 紅葉(モミジ)は平の腕を取り、脇に挟んで走った。 紅葉(モミジ)のささやかな膨らみに腕が当たり、平の顔が真っ赤になる。 平「(藍璃(アイリ)を見てもこんな気持ちにはならないのにな……俺もしかしてロリコンなんだろうか)……いでっ!」 紅葉(モミジ)に引き摺られる形で歩く平の頭に、何か固い物が当たった。 見ると、ビーチボールを片手に彰が平を睨んでいる。 彰「なぁーに、ニヤニヤしてんだよ。変態」 平「っ…てっめ…」 紅葉(モミジ)「あれ?彰。何処行ってたの?」 彰は無言で海を顎で指した。 紅葉(モミジ)「えぇー!一人で泳いで来たの!?ずるぅー!」 彰「今から行くんだろ?仕方ねぇから俺もついていってやるよ」 平「来なくていいし」 彰「……お前の体力について行けるのは、俺ぐらいだろうしなぁ?」 平「ぐっ…」 ニヤニヤする彰に、平は苦々しく舌打ちする。 平「…そうだ。焼きそば食べないか?紅葉(モミジ)」 紅葉(モミジ)「…焼きそば?」 反応した紅葉(モミジ)に、彰がしまったという顔をする。 平「そうだな、かき氷に、ソフトクリームなんかもあるみたいだぞ」 紅葉(モミジ)「かき氷…ソフトクリーム…!」 平「泳ぐ前に腹ごしらえなんてどうだ?奢るぞ」 彰「てめぇ…食い物で吊るなんざ汚ぇぞ」 平「別に?本人が決めることだろ」 紅葉(モミジ)「かき氷…泳ぐ…ソフトクリーム…泳ぐ…」 二人の真剣な眼差しのなか、紅葉(モミジ)は顔を勢いよく上げて、笑顔で言った。 紅葉(モミジ)「よし!泳いで、疲れたら焼きそば食べよっ!」 平はため息を吐いた。 平「やっぱりそう来たか…」 彰「残念だったな」 平「…負けねぇからな」 彰「俺がお前に負けるかよ」 紅葉(モミジ)「二人とも早く泳ごー!」 [*前へ][次へ#] |