美食日記
フランシスの場合
「トリック・オア・トリート!」
フランの店の扉を勢いよく開ける。
店の中ではフランとマシューがハロウィン用の飾り付けをしていた。
「おっ。来たな、名前」
「わっ!名前、オオカミだ」
フランとマシューに駆け寄る。
「フランたちはアリスだね!お菓子!」
「そ。俺が帽子屋で、マシューがチェシャ猫」
「アリスはいないの?お菓子!」
「お客様にアリス気分を味わってもらうっていうコンセプトなんだよ」
「へー!お菓子!」
「…」
フランとマシューがため息をつく。
「トリックオアトリート!」
ダメ押しで言うと、二人が苦笑いで答えた。
「じゃあ僕「お兄さんはいたずらがいいかな」
フランがウインクと共に言ったセリフに私は一切の表情を無くしてフランを見た。
「こわっ!お前そんな顔できたの!?」
「バカなこと言ってないでお菓子ちょうだい」
「お前、イベントを楽しむ心とか無いの?」
「トリートオアトリート!」
「一択かよ!」
フランはため息をついて私の手を掴んでお菓子の包みを渡した。
「わぁ…フラン、ありがとう!」
「どういたしまして」
可愛らしくラッピングされたそれは、店に並べられているのよりずっと豪華だ。
「あ、あとマドレーヌとミルフィーユとショートケーキとシュークリームとチーズケーキとクラシックショコラ」
「開店前から店のケーキ食べ尽くす気!?」
「はい。名前」
マシューが素早く箱に詰め、袋に入れて渡してくれた。
「ありがとう、マシュー」
「そうだ。名前、それ奢るから、ちょっとお使い行ってきてくれる?」
フランに首をかしげる。
「お使い?」
「アーサーのとこ」
甘い話には裏がある
最強のミッション来たこれ
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!