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美食日記
アルの場合


手始めにまずはアルの家に行こう。

私は付けキバと頭部以外の着ぐるみ、そしてフサフサの犬耳をつけてアルの家の前に立った。


「ふっふっふ…」


毎年一番お菓子をくれるのはフランとアルだから!

私は胸を弾ませてインターホンを鳴らす。


バタバタと騒がしい足音が聞こえ、扉が開いた。


「グーッモーニンッ!!」

「いやああああああっ!!!?」



出てきた人間を見て私は絶叫した。


白いお面に黒い点、チェーンソーを両手で持ち、稼働なうなそれを私につきつける彼は、


「じぇ…じぇいそん…」

「あれ、名前!?君だったのかい!?」


ジェイソンはチェーンソーを止め、私に手を伸ばした。


「ぎゃああああ!!!」


私は腰を抜かし、座ったままで素早くジェイソンから距離を取った。


「ちょっ…そんな避けられると傷つくんだぞ」


ジェイソンが徐々に近づいてくる。

さらに逃げようとしたが、私の背中は壁とご対面してしまった。


「うっううぅ…やだぁ…怖い…っく、うぅ」


迫りくる恐怖に、私は声を上げて泣き始めた。

するとジェイソンはピタリと歩みを止めた。


「…?」


私が首をかしげ、ジェイソンを見上げると、


「わっ!!」

「きゃああっ!」


急にチェーンソーを掲げたジェイソンに、私はまたぶわっと涙が出てきた。

ガタガタと震え出す私の前で、ジェイソンは腕を組む。


「(…新鮮で可愛いんだぞ)」

「やだっ、やだぁ、許してぇ…」


「わっ!!」

「きゃあっ!」

「DDDDD!!これは面白いんだぞ!」

「もう、やだぁーっ!」








しばらくして仮面を取ったアルに私は激怒した。


でもお菓子が美味しかったので許した。


「アーサーかと思ったんだ。っていうか君、その耳…」

「耳より着ぐるみ部分に注目!作るの大変だったんだから!」


アルは黙って私の付け耳を掴み、ピコピコ動かした。


「取れるー」

「なんか、こう、胸に込み上げてくる物があるんだぞ!」


アルは目を瞑って口を引き結び、何かに耐えるような顔をした。


「え、吐き気?」










いいえ、それは『萌え』です







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あきゅろす。
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